6月15日に「JR東日本カップ2022第96回関東大学サッカーリーグ戦」第10節、流通経済大学と明治大学の試合が行われた。
前日に「スターティングメンバーも言わず、今年1回も練習をやってないシステムだけを放り投げた」とは明治大学の栗田大輔監督。前日練習はいつも通りのシステムだったが、突然LINEで2019年のシステムでやると伝えたという。
前節、法政大学に0-1で敗れてから中2日。けが人も続出しているなかで、チームを上向かせるために各自が考えるテーマを与えた。考えることによって、チームの活性を図ったとその意図を明かした。
総理大臣杯、関東大学サッカーリーグ、全日本大学選手権、天皇杯予選の東京都トーナメントと総理大臣杯予選のアミノバイタルカップも制した2019年シーズンに、なぜこのシステムを採用したのか、その狙いは何なのかということを、この日の午前中のミーティングで当時の映像を見せて整理した。中村帆高と森下龍矢の役割、中村健人の役割、瀬古樹と安部柊斗の役割など、色々なことを話したという。
「あとはチーム力だと思ったので、そこに賭けた。一人ひとりが今日のゲームに対して100パーセント以上の力を出し切れるかどうかが、今日のキーだった。ああいう形で劇的に終われるとは」
この試合、明治大学は櫻井風我のゴールで先制するものの、齊藤聖七のPKで追いつかれてしまう。もう一回、取りに行こうと動いた明治大学は、後半アディショナルタイムに松原亘紀が中央から左サイドにつなぎ、熊取谷一星がダイレクトで中に上げる。
「いつもだったらニアに入って行くが、周りを上手く見れた」という田中禅がファーサイドにポジションを取り、「上手くインサイドに合わせることを意識した」ボレーでネットに突き刺した。
「あの瞬間、松原亘紀の質が高かったし、熊取谷一星も質が高かった。田中禅が期待に応えてくれて、彼の特徴であるワンタッチゴール、スーパーボレーで決まったという意味では、チームがまとまるきっかけができたので良かった」と栗田大輔監督は総括した。
一方の流通経済大学の中野雄二監督も、「負けたけど、今シーズンで一番いいゲームをやった。それでも負けたので残念だが、今日の試合をコンスタントにやれれば心配ないと思う」と評価した。
(文=玉 昌浩)
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