18歳イ・ガンイン(バレンシア)のための舞台が整っている。
U-20韓国代表の最年少であるイ・ガンインは、ポーランドで行われているU-20ワールドカップ・グループリーグ3試合で優れたパフォーマンスを披露し、チームをベスト16に導いた。2001年生まれの彼はチームで最も若いが、“エース”という表現では説明が足りないほどの存在感を示している。
グループリーグ第1~3戦の記録を見ると、イ・ガンインの活躍を詳しく確認することができる。スポーツデータ分析会社SportsMaticsの資料によると、イ・ガンインは3試合で計12本の“チャレンジパス”を記録した。
“チャレンジパス”とは、平凡で簡単なパスではなく、攻撃に直接つながるような挑戦的なパスを意味する。攻撃型MFであるイ・ガンインは、創造的でありながら大胆なパスを1試合当たり平均4本ほど駆使し、攻撃の糸口を探した。難しいパスに果敢にチャレンジしたにもかかわらず、パス成功率は76.6%と低くなかった。
ボールタッチの回数を見ると、イ・ガンインがU-20韓国代表チームで占める割合が圧倒的に大きいということを知ることができる。イ・ガンインはグループリーグ3試合で、計584回ボールに触れた。チーム全体のボールタッチ数2966回のうち、なんと19.6%をイ・ガンインが占めたのだ。
一般的に試合中、最も多くボールに触れる選手は、センターバックや守備的MFだ。後方に位置しているため比較的相手からのプレッシャーを受けにくく、攻撃の始発点の役割をするからだ。イ・ガンインのように相手の守備陣のなかでボールに触れる選手は、集中的なマークを受けるため、ボールタッチの回数が減るしかない。
それでもイ・ガンインは、チーム内で誰よりも多くボールに触れ、チームを支えている。南アフリカ戦やアルゼンチン戦を観戦したポーランドの記者は、イ・ガンインに対して「他のレベル(another level)の選手」と絶賛した。
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イ・ガンインにとって今回のU-20ワールドカップは、個人的にも重要な舞台だ。
バレンシアのマルセリーノ・ガルシア監督の構想から外れているイ・ガンインは、夏の移籍市場で新しいチームを探す計画にある。レンタルでも完全移籍でも、多く試合に出られるチームに移りたいという思いを隠さなかった。彼は「ワールドカップで活躍してより良いチームに行きたい」と語った。
イ・ガンインが話した「良いチーム」とは、単にチームのレベルを意味するものではない。自分が求めているスタイルと合いながら、できるだけ多くの試合に出場できるチームが彼の話す“良いチーム”だ。
イ・ガンインは現在、10代後半である。バレンシアのようなレベルの高いチームで、優れた選手たちと1軍でトレーニングすることにも大きな意味があるが、それよりも実戦経験を積んで成長するほうが重要な時期だ。イ・ガンインが新しいチームを探す背景だ。
イ・ガンインのバイアウト(契約解除違約金)は、8000万ユーロ(約97億円)と知られている。現実的に完全移籍が容易ではない、大きな金額だ。そのためワールドカップで見せるパフォーマンスに応じて、オプションを挿入したレンタル移籍が可能ではないかという観測が出ている。
今回のU-20ワールドカップは、ヨーロッパで開催されているだけに、欧州サッカー連盟(UEFA)所属クラブのスカウトとエージェントが現場に訪れ、有望株の“物色”に積極的に乗り出している。実際にバイエルン・ミュンヘンやパリ・サンジェルマンのようなビッグクラブのスカウトたちが、韓国戦を観戦した。
現地で会った関係者によると、スペインではすでにイ・ガンインの才能や可能性を具体的に把握しており、今大会では主にドイツやイングランド、イタリア、オランダ、ベルギーなどの主要クラブがイ・ガンインの実力を把握しようと注力していることがわかった。
ある関係者は「スペインでイ・ガンインは選ばれた逸材だ。幼い頃からあまりにも有名な選手で、どんな選手かをみんなが知っている。イ・ガンインの存在は知っているものの、詳細なスタイルや潜在能力、現在の技量などを詳しく見たい他の国のスカウトとエージェントが韓国戦をたくさん観ている」と明らかにした。実際に大会途中、バレンシアの地域紙で、イングランドとオランダのクラブがイ・ガンインを迎え入れようとしているという報道が出た。
今の雰囲気であれば、イ・ガンインは大会終了後、いくつかの選択肢を選ぶことができそうだ。状況に応じては、イ・ガンインを希望するチームが多数出てくる可能性もある。16強戦で日本に勝利すれば、8強戦ではナイジェリア‐セネガルの勝者と激突する。
いずれにしてもイ・ガンイン個人が技量で押される相手はおらず、グループリーグ3試合よりも活躍するかもしれない。イ・ガンインはU-20ワールドカップを“きっかけの舞台”にしている。
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