韓国代表MFイ・ジェソン(29、マインツ)は、自身の“傷”を広い心で癒した。
11月の2022年カタールW杯アジア最終予選2試合を戦う韓国代表メンバー25人に含まれたイ・ジェソン。
彼は去る10月12日のイラン代表戦で非難の的になった。先発出場で決して悪くないパフォーマンスをしていたのだが、後半の一度のミスが失点の原因となってしまい、SNSで一部の心ないファンから誹謗中傷コメントに遭ったのだ。
悪質コメントは選手のメンタルに深いダメージを与えかねない。
しかし、イ・ジェソンは「イラン戦は僕にとってターニングポイントになった。逆にファンの方々に応援され、慰められた。所属チームでもパワーをもらってプレーすることができた。今回はファンの皆様に良いパフォーマンスで応えなければならない責任感がある。あの一件が自分にとって“薬”になった」と、被害をポジティブに捉えたことを明かした。
実際、イ・ジェソンはイラン戦を終えてチームに復帰後、10月31日のブンデスリーガ第10節ビーレフェルト戦で初得点に成功した。
今シーズンはマインツ加入後からしばらく得点できずにいたが、ビーレフェルト戦のゴールが好調のきっかけとなった。
「これまでは所属チームで上手くプレーできず、パフォーマンスも十分に出せなかった。残念な気持ちもあった。でも、今はチームで上手くプレーすることができていて、ゴールも決めて自信がついた。その自信をチームに役立てられるように準備している。(代表でも)このタイミングでゴールが生まれれば良い。所属チームで決めたのだから、今回こそは決めてみせたい」と、イ・ジェソンは代表戦でゴールすることへの意欲を示した。
カギを握るのはコンディションだ。韓国代表は今回も欧州組が遅れて合流し、チーム全体でまともに練習できるのは10日の一日だけだ。
加えて、欧州組は長距離フライトで韓国に戻ってきたかと思えば、11日にホームで戦うUAE代表戦を終えた後、すぐにイラク代表戦が行われる中立地カタールに移動しなければならない。時差や体調管理が困難なハードスケジュールとなっている。
それでも、イ・ジェソンは「コンディションは良い。慣れた状況だ。懸命に上手く合わせていこうと思う。大変だという話は聞いているが、ポジティブに考えたい。ストレスと受けないことが重要だ。これまで2度の招集期間でもそうだった。心配していない。戦術的なことより、体力やコンディションを管理することに集中しなければならない。ずっと合わせてきた選手たちがいるから大きな問題はないはずだ」と自信を示した。
韓国代表は大きな懸念を抱えている。不動のストライカーであるFWファン・ウィジョ(29、ボルドー)を負傷で欠くことになったのだ。
戦力低下が嘆かれるなか、イ・ジェソンは「ウィジョがいなくてもほかに良い選手はいる。ウィジョとは違うプレーをする選手だ。僕もその選手たちを助けたい」と、チームメイトとともにファン・ウィジョの穴を埋めることを誓った。
UAE代表を迎えてのホームゲームは、約2年ぶりとなる“100%有観客”での開催となる。選手にとってファンやサポーターの存在は大きな力となるに違いない。
イ・ジェソンは「多くのファンがともに戦ってくれる。わくわくして楽しみだ。応援してくださるだけに良いパフォーマンスで応えたい」と力強く意気込んだ。
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