開幕迫る東京五輪の“行政カオス”と“入国戦争”…新型コロナ防疫に苦戦する日本【現地ルポ①】

2021年07月20日 スポーツ一般 #東京五輪
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新型コロナウイルスの感染拡大が広がる状況で行われる東京五輪は、全競技の96%が無観客で行われる。

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国際オリンピック委員会(IOC)は、日本国内の感染状況が好転すれば有観客に切り替える意志を示しているが、緊急事態宣言が発令されている現状では容易ではないはずだ。

今回は、取材のため韓国から東京入りしている本紙『スポーツソウル』キム・ヨンイル記者によるルポをお届けしよう。

“行政カオス”に陥った東京五輪

7月18日、午後8時30分。

これは、東京五輪取材のため日本に入国した記者が宿舎に到着した時刻だ。成田国際空港に到着してから7時間後のことだった。

日本から韓国までは飛行機で2時間前後で到着する。時差も同じなだけに、疲労に対する負担はないはずだった。

しかし、今回はまるで長時間のフライトで地球の反対側に向かったかのように、宿舎に入った瞬間、まっ先にベッドに倒れた。

理由は既報通り、今回のオリンピックで選手団や関係者、メディアのすべてが前例のない“入国戦争”を繰り広げているからだ。

(写真=キム・ヨンイル記者)成田国際空港到着後のPCR検査の様子

東京五輪は新型コロナウイルス感染拡大下で強行開催が決まった大会だ。33種目に全世界205カ国から1万5000人余りの選手が参加する。役員や職員、取材・中継陣など大会関係者を含めれば、合計7~8万人が東京を中心に集結する。

オリンピック成功のためには、新型コロナに支配されない環境を作ることが最優先の要件だった。

しかし、実際には東京五輪・パラリンピック組織委員会(以下、組織委)が現実を考慮しない無理のある防疫システムを導入したことで、“行政カオス”に陥った格好だ。これにより、数万人の関係者が入国戦争をしなければならない状況に追い込まれた。

組織委は隙のない防疫のためだとして“粉骨砕身”を訴えたが、適示に入国者書類を処理できなかったために例外規定を設けるなど、原則と基準も崩れている。

(写真=キム・ヨンイル記者)空港到着後、番号の書かれた椅子に座って待機する取材陣

彼らが最も重要視しているのは、日本入り後の14日間の動線を報告するアクティビティプランだ。韓国では珍しい方だが、エクセルファイルをダウンロードし、入国する日付や時間、空港、航空便はもとより、訪問予定地も細かく記入し、メールで送らなければならない。

その後、各マスコミ代表のCLO(COVID-19 Liason Officer、コロナ対策責任者)が、統合ページであるICONに登録する。これらは日本政府が承認しなければならず、新型コロナ防疫対策アプリケーション「OCHA」を活性化し、防疫審査時に求められるQRコードを作らなければならない。この過程で、多くの文書やエクセルファイルが行き来する。

最初は組織委のCLO担当者と各マスコミの記者の間で、コミュニケーションが円滑に進められた。ところが、次第に返事が遅くなった。出国が差し迫った取材陣が承認を受けられず、地団駄を踏む状況が繰り返されたのだ。記者も早々に関連書類を提出したが、返事はなかった。

そして、CLO担当者から送られてきた「承認は上手く行っている」「修正する内容が必要だ」というそれぞれ異なる見解のメールが、記者をさらに困惑させた。

結局、修正したエクセルファイルを再度送ったが、組織委の方で確認が遅れ、出国前日になってようやく日本政府の承認を受けた。これさえも、出国前日にCLO担当者に電話をかけて確認を要請し、日本にいる知人を通じて再度要求した末に実現したものだ。

(写真=キム・ヨンイル記者)取材陣に旅券や陰性証明書等の確認をする関係者

「行き過ぎた完璧主義」

こうしてやっとの思いで成田国際空港に到着したが、入国場を離れることも容易ではなかった。またしても数枚の書類を渡して審査を経て、唾液を利用したPCR検査で3時間近くも待たなくてはならなかった。

緻密さと几帳面さで知られる日本が新型コロナの防疫に失敗した主な理由に挙げられるのが、「行き過ぎた完璧主義」だ。最初からワクチン契約も早い方だったが、複雑なワクチン承認手続きの過程で変異ウイルスへの対応に失敗した。

以前、『毎日新聞』などが報じたところによると、厚生労働省は海外で開発したコロナワクチンにも日本人を対象にした臨床試験の結果を要求した。臨床試験の結果を提出して許可を受けるまで、ファイザーは2カ月、モデルナは2カ月半、アストラゼネカは3~4カ月以上もかかった。

結局、最近になってワクチン接種の手続きを簡素化し、接種率を増やしている。韓国の“パルリパルリ(早く早く)”文化と対照的な日本の官僚主義は長所はあるとはいえ、新型コロナという未曽有の時代にはやや無理が伴うという指摘が出ている。今回のオリンピック防疫システムも軌を一にしている。

もし韓国で今回のオリンピックが開かれていたのであれば、文書中心ではなく電算中心のシステムで、複雑にならずに進められたはずだ。

(写真=キム・ヨンイル記者)PCR検査後、結果が出るまで空港内で待機する取材陣

取材陣をさらに困惑させるのは、ややこしい入国手続きと比べて東京都内の防疫がお粗末だという点だ。街中でマスクを着けずに歩き回る人は基本で、夜遅くまで酒場で遊興を楽しむ人も多い。

在日コリアンで本紙『スポーツソウル』のコラムニストを務める慎武宏氏は、「日本国内の緊急事態宣言後、飲食店などを午後8時まで運営するようにしたが、“勧告”の水準に過ぎない。韓国のように法的規制をしないため、守らない人が多いのが事実だ」と述べた。

最近では選手村内で感染者が発覚したというニュースも聞こえてきた。今回のオリンピックは「安全かつ健康に過ごすこと」が最優先課題となってしまった。

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