「私が知る(自身の最多ゴール)記録は19ゴールではなく17ゴールだ」。元韓国代表FWのチャ・ボムグン氏(67)は6年前、本紙『スポーツソウル』とのインタビューでこう語ったことがあった。
1970~1980年代にドイツ・ブンデスリーガで活躍したチャ・ボムグンは、バイエル・レバークーゼンに在籍していた1985-1986シーズンに公式戦通算19ゴール(リーグ戦17ゴール)をマーク。これにより、欧州1部でプレーするアジア人選手として最多となるシーズン得点記録を保持していた。
当時のインタビューで最多ゴールの話が出たのは、同じくレバークーゼンに所属していた韓国代表FWソン・フンミン(28、現トッテナム)が得点量産を続けていたためだ。彼は2014-2015シーズン、公式戦通算17ゴール(リーグ戦11ゴール)と、チャ・ボムグンの記録まであと一歩の得点数を挙げていた。
その後、ソン・フンミンはイングランド・プレミアリーグのトッテナムに移籍すると、翌2016-2017シーズンに公式戦通算21ゴール(リーグ戦14ゴール)を記録。当時、韓国サッカーファンの間では「ついに“チャ・ボムグン神話”を乗り越えた」と、多くの注目が集まっていた。
ソン・フンミンの挙げた21ゴールは、欧州1部でプレーするアジア人選手の1シーズン最多得点記録として、今も韓国サッカーファンの間で語り継がれている。
そして今シーズン、ソン・フンミンはリーグ戦4試合を残して公式戦通算21ゴール(リーグ戦16ゴール)を記録中と、すでに4年前と肩を並べている。今後、彼が1ゴール以上決めることができれば、当然記録は塗り替えられる。
ただ、ソン・フンミンの最多得点記録はサッカー関係者の間でさまざまな解釈をされている。欧州では選手の得点記録について、すべての公式戦ではなくリーグ戦に限って解釈する見方が多い。
チャ・ボムグンも6年前のインタビュー当時、似たような見解を出したことがある。
彼は自身の最多得点記録を19ゴールではなく17ゴールだと主張した。前述のとおり、チャ・ボムグンは1985-1986シーズンに公式戦通算19ゴールを挙げた。内訳はブンデスリーガで17ゴール、カップ戦のDFBポカールで2ゴールだ。
ただ、チャ・ボムグン自身は「(リーグ戦以外の)大会はウェイトが異なり、相手チームの水準も違う」と言及していた。
ソン・フンミンの最多得点記録が生まれた2016-2017シーズンも、21ゴールのうちリーグ戦でのゴール数は「14」だった。
残り7ゴールのうち6ゴールがFAカップで生まれたが、ミルウォール戦(3ゴール)、ウィコム・ワンダラーズ戦(2ゴール)と下部リーグ相手に得点が集中していた。このため、欧州では1部リーグで1シーズンの間にどれだけ得点できたかを高く評価する。
参考までに、イラン代表FWアリレザ・ジャハンバクシュ(27、ブライトン)は、2017-2018シーズンにオランダ・エールディビジで21ゴールを挙げ得点王に選ばれた。同代表FWサルダル・アズムン(26、ゼニト・サンクトペテルブルク)も、2019-2020シーズンに17ゴールの活躍でロシア・プレミアリーグ得点王に選出。アズムンは今シーズンもここまで19ゴールと、得点ランキング首位を走っている。
ただ、オランダやロシアは欧州の中でも中小リーグに挙がることから、5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)の1つとされるプレミアリーグと比較することは容易ではない。
なお、ジャハンバクシュは2018-2019シーズンにイングランド入りして以降、今シーズン現在までリーグ戦では通算2ゴールにとどまっている。
直近のリーグ戦5試合で2得点を挙げているソン・フンミンは、残り4試合の間にさらにゴールを稼ぐことができるのだろうか。
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