“ネクスト・シャビ”と呼ばれた韓国代表MF、全北現代移籍に暗雲…水原三星が強硬姿勢を貫くワケ

2021年02月22日 サッカー #Kリーグ

U-23韓国代表MFペク・スンホ(23、ダルムシュタット)の母国復帰が思わぬ展開を迎えている。

ドイツ2部のダルムシュタットで出場機会に恵まれていないペク・スンホは最近、Kリーグへの移籍を決断。リーグ4連覇中の王者である全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースへの加入を目前としていた。

ただ、ここで思わぬハプニングが起きた。それが、ペク・スンホが約10年前に水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスと結んだ契約上の問題だ。

ペク・スンホ

ペク・スンホは去る2009年、水原三星U-15チームである梅灘(メタン)中学への入団が合意されていた。だが、翌2010年3月にバルセロナ留学が決まったことで、ペク・スンホ側は水原三星に支援を要請。そこで水原三星は、ペク・スンホ側に3年間、毎年1億ウォン(日本円=約1000万円)の支援を行う旨の合意書を作成した。

その合意書には、ペク・スンホ側が「2012年3月以降の梅灘高校(水原三星U-18チーム)への進学を約束する」という内容も明記されていた。しかしその後、ペク・スンホがバルセロナと5年契約を結んだため、韓国への復帰、梅灘高校への進学は事実上不可能となった。

水原三星はこの時点で一度、ペク・スンホ側の契約違反を指摘した。そして2013年3月、ペク・スンホ側と水原三星は2度目の合意書を作成した。そこには、「Kリーグ復帰時には水原三星への入団を約束する。違反した場合は支援金の返還はもちろん、損害賠償を請求する」という内容が込められていた。

「全北現代移籍なら法的対応も辞さない」

争点は、2度目の合意書の法的効力に対する見解の相違にある。ペク・スンホ側は、2度目の合意書が「追加支援を前提に作成された」とし、実際には水原三星からの支援がなかったとして、法的効力は発生しないという立場を明かしている。

一方の水原三星は主張が異なる。水原三星は2度目の合意書の作成時に「水原三星がペク・スンホに支援を行う」という内容は明記しておらず、あくまで水原三星への復帰や支援金3億ウォンの返還、損害賠償の責任について合意したと主張している。このため、合意書の法的効力に問題はないという立場だ。

水原三星に立場を崩す考えはない。関係者は「ペク・スンホ側から連絡がなかった。我々が連絡した際には、水原三星の権利がないというニュアンスを伝えられた。(水原三星と)最小限の協議はすべきだった。(全北現代移籍を)強行するのであれば、法的対応も辞さない」とし、「Kリーグユース、ひいてはKリーグ根幹の問題になる可能性がある。こうした事例が繰り返されれば、水原三星だけでなく、ユース政策そのものが形骸化してしまう可能性がある」と強調している。

「ペク・スンホは水原三星に行くのが正しい」

ペク・スンホ側と水原三星の争いに巻き込まれる形となった全北現代は、仮にペク・スンホ加入が破談になったとしても致し方ないと捉えている。

全北現代率いるキム・サンシク監督は2月21日、本紙『スポーツソウル』の電話インタビューに応じた際、ペク・スンホ側との移籍交渉と関連して次のように語っていた。

キム・サンシク監督

「報道を通じて水原三星とペク・スンホの過去の契約関係を知った。最初に獲得交渉に乗り出した際には把握してなかった事案だ。事実を認知したうえで、獲得作業は一時中断している。全北現代はまだペク・スンホと契約していない。現時点では何の関係もない」

「ペク・スンホは当時作成した契約書に従い、水原三星に行くのが正しいと思う。我々が獲得を望み、交渉を行っていたのは事実だ。だが、道義的なレベルで水原三星の立場を考慮し、一歩後退したい。ペク・スンホと水原三星が交渉テーブルにつき、交渉が行われるのであれば、水原三星に入団するのが正しい」

一方、ペク・スンホの父親は水原三星側に対話したい旨を伝え、現在ドイツから韓国に帰国し自主隔離期間を過ごしているという。過去の契約問題で揺れるペク・スンホだが、果たして母国復帰は無事に実現するのだろうか。

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