「次はいつできるかわからない」という共通の認識が生じたからだろうか。Kリーグのオールスター戦のようなイベント色の強い試合になるかと思われたサッカー韓国代表とオリンピック代表のスペシャルマッチは、期待以上に迫力ある試合となった。
新型コロナの余波でAマッチ期間に通常の親善試合を行うことが難しいことから、韓国サッカー協会(KFA)が企画した10月のスペシャルマッチだが、非常に肯定的な効果を見せている。既存のAマッチと同様に第1戦(10月9日、2-2)の4日前からトレーニングを行った両チームの選手たちは、最初の試合から熱戦を繰り広げた。
過去1996年4月21日にも、パク・ジョンファン監督が率いるA代表と、アナトリー・ブイショヴェツ監督のオリンピック代表が親善試合を行ったことがある。当時も異色対決に注目が集まったが、どこまでもイベント色の強い試合に過ぎなかった。24年ぶりに“兄弟対決”が実現することになったが、緊張感が落ちる雰囲気のなかで実質的な競技力向上の効果を出すことができるかと懸念の声もあった。
しかし10月9日に高陽(コヤン)総合運動場で行われた第1戦は、懸念を払拭するに十分だった。序盤から両チームは激しいプレーで試合の主導権を奪い合った。
前半3分、オリンピック代表のチョ・ギュソン(22、全北現代)が突破しようとすると、所属クラブのチームメイトでもあるA代表ソン・ジュンホ(28、全北現代)が強いタックルで止めた。主審はビデオ判定(VAR)まで実施した。結果的にソン・ジュンホにカードは出なかったが、試合開始直後から火花が散ったわけだ。その2分後にはオリンピック代表チョ・ヨンウク(21、FCソウル)がA代表ナ・サンホ(24、城南FC)に果敢なタックルを試みた。ナ・サンホはしばらくの間、ピッチに倒れ、痛みを訴えた。
試合の“ストーリー”も一品だった。前半、A代表の左サイドバックのイ・ジュヨン(28、全北現代)が、5年2カ月を経てA代表初ゴールを決めた。後半にはKリーグの“ホットガイ”と呼ばれる21歳ソン・ミンギュ(浦項スティーラーズ)が、オリンピック代表デビュー戦で華麗な個人技を見せ、A代表の先輩DFを交わして同点ゴールに成功。またイ・ジョンヒョプ(29、釜山アイパーク)はA代表が1-2とリードされていた後半44分に同点ゴールを記録し、ベント監督体制下で初ゴールを決めた。
A代表パウロ・ベント監督とオリンピック代表キム・ハクボム監督は、いずれも「いつ再び集まってトレーニングと試合をできるかわからない」と、今回の2連戦を無駄にしないと意気込みを語っていた。
両監督の思いは、選手の心を動かした。両チームの主力メンバーは、海外リーグ所属選手だ。通常の環境を取り戻せば、海外組がチームの主力となり、国内リーグの選手の一部だけが招集されることになる。
監督の言葉通り、いつ再びチャンスの場を与えられるかはわからない。国内リーグでプレーする選手は、今回の2連戦だけが強い印象を残す機会だ。新型コロナの逆境が、むしろ選手たちの意識を引き上げている。
さらに10月12日20時に同じ場所で行われる第2戦には、観客も入場する。
KFAは前日の10月11日、韓国政府が防疫対策「社会的距離確保」を第1段階へと引き下げながら、代表チームの試合に飢えているファンに観戦の機会を提供しようと、観客の受け入れを決定した。収容人数は3000人で、ファンは防疫指針に基づいて肉声ではなく、手拍子で応援することができる。選手たちはファンが見ている目の前でAマッチのような緊張感を持ち、さらに強い動機を持ってプレーすることだろう。
前へ
次へ