【韓国スポーツの窓と槍】「下石上台」と指摘される公共スポーツクラブ導入政策

2020年07月03日 スポーツ一般 #五輪種目

政策と数字はともに動く。そういう関係だ。 

針と糸のような存在とでも言おうか。政策効果を最も強く表現する手段として、数字ほどの説得力はないだろう。

しかし、数字への盲目的な信頼は、時に全体を理解する上で障害になり得る。見えるものだけに執着してしまえば、必然的に現象の裏に隠れている真実の絵を見逃す恐れがあるからだ。 

だからこそ、新しい政策が導入される時は常に細心の洞察と脈絡的な流れを批判的に判断する態度が必要だが、そのような点で大韓体育会の学校連携型公共スポーツクラブの選定は、残念でならない。

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大韓体育会は最近、21の団体を学校連携型の公共スポーツクラブとして選定し発表した。 

韓国スポーツの未来を担保するスポーツクラブを活性化するための政策だが、現場の熱気はあまり熱くなかった。 

5年間で最大4億ウォン(約4000万円)の支援という「ニンジン」を提示したが、地方自治体や教育庁が負担しなければならないマッチングファンド1億ウォンと、施設利用8年間という長期契約が障害になったため、競争も少なかった。 

2019年7月にスポーツクラブ育成計画を発表した文化体育観光部

応募した21団体のうち、施設の不備で1団体だけが条件付きでの承認になっただけで、残りの20団体すべてが公共スポーツクラブの対象者に選ばれたという事実を知っている人はあまりいない。 

このような状況もきちんと知らないまま、21団体の公共スポーツクラブの選定を無批判的に受け止めては困る。政策評価とは、多様な見解と総合的な方式で接近してこそ、実体的な真実に近づくことができるからだ。

公共スポーツクラブに選ばれた21団体のうち、7団体が既存の学校部活チームからの転換であることを知っている人は、果たしてどれくらいだろうか。これは数字の中に隠された重要な真実だ。 

既存の7つの学校部活チームがクラブチームに転換した理由は、学校スポーツの質的変化のためというよりも、5年間で4億ウォンという支援金を受けるための不可避な変身だったというのが大方の見方だ。

ある意味も、韓国スポーツが目指すべき発展的未来形とはまったく関係のない、学校スポーツの巧妙な変身に過ぎない。

韓国スポーツ界がスポーツクラブへと地形変化することは否定しない。 

ただ、新しいスポーツ生態系の生命は多様であるべきだと強調したい。 

2016年のスポーツ団体統合の価値と名分は何だったのか。

学校スポーツと生活スポーツ(生涯スポーツ)、そして競技者志向のエリートスポーツが一つになる新しいスポーツ生態系の造成、まさにそれだったはずだ。

性格の異なる3つの分野が有機的に共存し、好循環できる調和のとれたスポーツ生態系の構築は、韓国スポーツ界の新しいパラダイムの開始を知らせる信号であり、名分としても十分だった。 

しかし、政府が主導する最近のスポーツ政策をよく見ると、従来のスポーツシステムと価値を無視したり蔑視する方向に、政策的方向を設定して推し進めている格好だ。

クラブスポーツが既存の学校スポーツ、特にエリート選手を養成する伝統的な学校部活チームを弱体化させる方向性として活用されることはかなり間違っている。 

今回の学校連携型の公共スポーツクラブ政策が、統合の名分に合わせて施行されるなら、既存の学校部活チームを維持させながら、クラブチームを新たに創設する方向で活用されるべきだった。 

クラブチームを新たに作るために、長い歴史と伝統を持つ既存の学校部活チームの解体量産させたのは、まともな政策というよりはむしろ政策の逆効果として評価するほうが正しい。

生きて動く現場は、いつも頭より一歩先に回るものだ。政策立案者が緊張の手綱を緩めずに事案に集中しなければならない理由でもある。

深謀遠慮の姿勢で政策を作っても、大部分の政策が期待に及ばないのはなぜか。現場で汗する人間の計算能力がより早く反応するためだろう。 

そのため、常に政策は先制的でなければならず、結果に関しても正確に予測してこそ、成功的な政策として根付くことができる。 

まだ速断するには早いが、学校連携型の公共スポーツクラブ政策は、様々な面で多くの問題点を露呈している。 

少なくとも伝統の学校部活チームを解体し、「人を欺く」クラブチームを創設するよう誘導する政策は、韓国スポーツ界の全体地形を考慮すれば、成功作とは言い難いだろう。 

下の石を抜いて上の石を支える「下石上台」は、失敗を巧みに包装する見せかけに過ぎない。

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