かつてイチローとWBC決勝で名勝負を演じ、東京ヤクルトスワローズでも活躍した韓国の元プロ野球選手イム・チャンヨン(林昌勇/48)が、詐欺容疑で懲役刑を求刑された。
1月21日までに『news1』など韓国メディアが報じたところによると、同日に行われた光州(クァンジュ)地裁・刑事11単独(キム・ソンジュン部長判事)の結審公判で、詐欺容疑で起訴されたイム・チャンヨンに検察が懲役1年6カ月を求刑した。
イム・チャンヨンは2019年12月、フィリピンで知人A氏から1億5000万ウォン(日本円=約1630万円)相当の金品を借り、このうち8000万ウォン(日本円=約868万円)を返済しなかったとして裁判にかけられた。
A氏は、イム・チャンヨンがカジノ賭博のため1億5000万ウォンの現金を借りた後、7000万ウォン(約760万円)のみ返済したとして、イム・チャンヨンを告訴した。
一方、イム・チャンヨン側は賭博で使用する目的で金を借りた事実は認めたが、現金ではなく賭博チップであること、借金額が1億5000万ウォンではなく7000万ウォンであること、そしてそれをすべて返済したことを主張している。
このため、検察は「被告人が自身の陳述を翻し、犯行を反省していない点を考慮してほしい」として、イム・チャンヨンに懲役1年6カ月を求刑した。
これに対し、イム・チャンヨン側の弁護人は「被害者は1億5000万ウォンを貸すことができる状況ではなかった。金を貸したという被害者の供述は信憑性がまったくない。すでに返済は終わっており、詐欺容疑は認められない」と無罪を主張した。
イム・チャンヨンも最終陳述で、「弁護人の意見と同じだ」と無罪を訴えた。
イム・チャンヨンに対する宣告公判は、来る3月27日14時に光州地裁で行われる予定だ。
なお、1976年6月生まれのイム・チャンヨンは選手として、1995年に韓国のヘテ・タイガース(現KIAタイガース)でプロデビューした後、サムスンを経て2008年にヤクルトに加入し、2012年までの通算5シーズンで238試合に登板。11勝13敗128セーブ21ホールド、231奪三振、防御率2.09を記録した。
その後は米メジャーリーグ(MLB)のシカゴ・カブスで1年プレーし、2014年にサムスンに復帰するも、前出の海外賭博疑惑で2015年にチームを放出される。最後は2016年から2018年までKIAでプレーし、2019年3月に現役を引退した。
韓国代表でもアジア大会3大会(1998年、2002年、2014年)、五輪1大会(2000年シドニー)、WBC2大会(2009年、2017年)といった国際大会に出場。特に、2009年WBCでは日本との決勝でイチローと圧巻の名勝負を繰り広げるも、決勝点となる2点適時打を許し、敗戦投手となっていた。
これらの功績が認められ、2022年9月に韓国プロ野球40周年を記念して発表された「レジェンド40」に、イム・チャンヨンも選出されている。
そんなイム・チャンヨンだが、ギャンブル関連で裁判沙汰となるのは今回が初めてではない。
まずは現役時代、サムスンに在籍した2014年11月に、マカオにあるカジノのジャンケットルームで4000万ウォン(約434万円)台のバカラ賭博をした疑いが認められ、2016年1月に罰金1000万ウォン(約108万円)を宣告された。
また、引退後の2020年7月には、高級クラブの従業員を務める30代の知人女性から2500万ウォン(約271万円)を借りるも、うち1500万ウォン(約163万円)を返済しなかったとして、知人女性が告訴。同年11月から警察の捜査が始まり、2021年4月に詐欺容疑でイム・チャンヨンを検察送致した。そして同年6月、略式起訴で罰金100万ウォン(約10万円)を言い渡された。
さらには、2020年12月に韓国国税庁が公開した同年の「高額・常習滞納者リスト」に名を連ね、総合所得税など計2億6500万ウォン(約2880万円)を滞納していたことが発覚。翌2021年12月の同リストでも、依然としてイム・チャンヨンの名前が記載された。
これにとどまらず、2021年3月12日夜から翌日午後にかけて、15時間にわたり、世宗(セジョン)市のとあるホールダムパブで1億5000万ウォンを賭け、230回にわたりバカラ賭博をした疑いで裁判にかけられた。そして翌2022年7月、懲役6カ月、執行猶予2年、罰金300万ウォン(約32万円)、40時間の社会奉仕が言い渡されていた。
■【写真】イム・チャンヨン、40代無職で「高額・常習滞納者」に
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