まさに“親切なスーパースター”だ。溢れんばかりの実力と財力を持ち、傲慢にもなり得る地位にいながら、仲間には限りなく優しい。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(30)のことだ。
彼はキム・ヘソン(25)のドジャース加入が決定した際、自身のSNSでキム・ヘソンに関するMLB公式アカウントの投稿を引用するとともに、「歓迎します、友よ」と綴った。それも韓国語でだ。
そして今回、キム・ヘソン本人の口を通じて、大谷の“人柄”を再確認することになった。
キム・ヘソンは1月14日、仁川(インチョン)国際空港を通じてアメリカ行きの飛行機に乗った。出国に先立ち行われた取材対応では、ドジャースでの目標や意気込みなど、“予想可能”な質問と回答が交わされた。
目標はもちろん、名門ドジャースで誠実に準備し、開幕戦のエントリーに入ることだ。背番号に6番を選んだ理由は、ドジャースで活躍したトレイ・ターナーが付けていたからだという。
そんななか、最も注目されたのが大谷とのエピソードだ。いざ聞いてみると、スーパースターの「謙遜」と「配慮」を感じ、思わず報道陣も心温まる内容だった。
キム・ヘソンは先月、代理人事務所CAAが用意した施設で練習した。すると、そこには同事務所所属の大谷もいた。練習中、2人は同じ場所で練習をし続けた。
そこで驚いたのは、大谷が韓国語で「アンニョンハセヨ(こんにちは)、ヘソンさん」と挨拶したことだ。
来季からMLBにチャレンジする新人の名前を覚え、彼の母国語で挨拶して歓迎したのだ。大谷はキム・ヘソンへの応援と激励を欠かさなかった。
対するキム・ヘソンも黙っていなかった。彼も日本語を勉強し、大谷に挨拶したのだ。
大谷は韓国語で、キム・ヘソンは日本語でコミュニケーションをするという、特異な状況が演出された。この場面からは、話し上手か下手かを問わず、相手に対するお互いのリスペクトが感じられた。何より、大谷の謙虚な性格を感じることができた。
この場面から、大谷に関する1年前の記憶を思い出した。
大谷は昨年3月16日、「MLBワールドツアー・ソウルシリーズ」のため来韓し、ソウルの高尺(コチョク)スカイドームを訪れた際、「韓国は私が一番好きな国だ」と話した。
また、前日(15日)に入国した際には、「韓国と日本は常にスポーツでライバル関係だった。韓国の試合を見ながら韓国の選手、韓国チームを常に尊敬してきた。だから、このように歓迎されるというのはより一層気持ちが良い」とも話した。
この発言は、2006年の第1回WBCでイチローが日韓戦を控えて「対戦した相手が、向こう30年は日本に手は出せないな、という感じで勝ちたい」と発した言葉と比較され、さらに話題になった。
キム・ヘソンはまもなく、大谷と同じユニホームを着て春季キャンプで会う。過酷な生き残りを強いられるMLBでは、能力によって主力と非主力で区分されることになるが、キム・ヘソンにとって大谷は優しくて心強い友人であり、ロールモデルとなるだろう。
加えて、キム・ヘソンは自身を「パク・チソン」と褒め称えた親友で、キウム・ヒーローズで同僚だったイ・ジョンフ(26、サンフランシスコ・ジャイアンツ)とも再会する。今度は相手同士で会うことになるが、イ・ジョンフがMLBの“1年先輩”なだけに、試合の外ではキム・ヘソンの適応を助ける心強い存在になるに違いない。
同僚と友人の応援のなかで、キム・ヘソンの本当のMLB挑戦がいよいよ始まる。
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