9月5日、ソウルワールドカップ競技場で行われた北中米W杯アジア最終予選の初戦で韓国代表がパレスチナ代表と引き分けた直後、主力選手の一人であるDFキム・ミンジェ(28、バイエルンがミュンヘン)がファンに“ブーイングの自制”を求める異例の状況が発生した。
彼は韓国代表サポーター「レッドデビルズ」のいる観客席に向かった後、「試合中のブーイングを自制してほしい」というジェスチャーをした。
試合後、彼は報道陣の取材で当時の状況を問われると、「我々が最初からできなかったわけではないではないか。(試合後のジェスチャーの意味を)歪曲して、自分のSNSにまで(批判するコメントが)来ていた。できないことを願って応援する方が残念だったので申し上げた」と力を込めて伝えた。
また、「(観客席に)向かったことを良くないと思う方はそのように考えても良いが、攻撃的な意図はなかった」とし、「試合開始前から(ブーイングが)聞こえて、それが残念だったためそうした」と付け加えた。
この日、レッドデビルズを中心とした観客の多くが、この1年間でさまざまな騒動を起こしてきた韓国サッカー協会(KFA)、さらにはそのトップであるチョン・モンギュ会長に対する批判の横断幕を掲げた。
それとともに、試合前・試合中・試合後すべての状況で「チョン・モンギュ、ナガ(出て行け)!」と大声で叫んだ。
また、KFAが自ら招いた生半可な監督選任過程によって新指揮官に就任したホン・ミョンボ(洪明甫)監督にも、激しいブーイングが殺到した。
そのため、韓国代表の選手はホームであるにもかかわらず、観客6万人の熱い歓声以外に“ブーイング”も聞きながら試合を戦わざるを得なかった。
ホームでスコアレスドローは確かに評価できる内容ではないが、前出のキム・ミンジェをはじめ、チームの骨組みを成す欧州組のスターはこのような雰囲気に”疲労感”を訴える。
MFイ・ガンイン(23、パリ・サンジェルマン)は「大韓民国を代表する選手として非常に残念だ。(ホン・ミョンボ)監督と一緒に戦う最初の試合だったが、応援ではなくブーイングで始まった」とし、「選手は監督を100%信じて従わなければならない。監督が勝つサッカーを作ってくれると信じている。サッカーファンの皆さんも残念で腹が立つと思うが、たくさんの応援を送ってほしい」と伝えた。
キャプテンのFWソン・フンミン(32、トッテナム)も「厳しい環境の中で最善を尽くした」とし、「自分たちで自分たちの敵を作ってはいけないと思う。(ファンの後押しが)相手を崩すために助けになることを、ファンの立場からも考えてほしい。応援をお願いしたい」と強調した。
欧州の大舞台を駆け巡り、あらゆる苦労を経験したスター選手たちでさえも、自国ファンからブーイングを受けるのは苦しいだろう。絶対的な支持者が集まるホームゲームであれば特にそうだ。
例え、それを「選手ではなくチョン・モンギュ会長とホン・ミョンボ監督に対する批判の声」と強調しても変わらない。ファンの応援を背負ってエネルギーを発散する選手の立場としては、試合中のブーイング自体が負担にならざるを得ない。
それが、キム・ミンジェやイ・ガンイン、ソン・フンミンら選手が異口同音に「応援してほしい」と切実に訴えた理由だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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