勝負をかけられる最後の瞬間、虚しくも反則負けの判定が出た。日本生まれ、日本育ちのホ・ミミ(21・慶尚北道体育会)の試合は、そのまま終了した。
28年ぶりに韓国女子柔道のオリンピック金メダルを期待されていたホ・ミミは、うなだれるしかなかった。
それでもパリ五輪での韓国柔道初のメダル、2016年リオ五輪以来の女子柔道銀メダルという快挙を成し遂げた。
ホ・ミミは7月30日(日本時間)、フランスのシャン・ド・マルス・アリーナで行われたパリ五輪・柔道女子57kg級決勝戦で、こちらも日本出身の出口クリスタ(カナダ)と延長の末、惜敗した。
世界ランキング3位のホ・ミミが、同ランキング1位の出口クリスタに挑んだが、敗北に終わった。4月の世界選手権ではホ・ミミが出口クリスタを破っていただけに、悔しさも大きかった。
金メダルが目の前にあったといえるほどの激闘だった。ホ・ミミと出口クリスタは、残り3分を切ってから指導をひとつずつ受けた。残り1分50秒ほどで出口クリスタが指導で優位に立ったが、得点には至らず、勝負は延長戦に持ち込まれた。
延長戦でホ・ミミは、指導を同点に戻した。体力で勝り、休まず出口クリスタを攻め続けた。実際にホ・ミミだけが攻撃を仕掛ける展開だった。この流れであれば、最後の瞬間に勝利を手にすると思われた。
しかしホ・ミミに対して偽装攻撃の判定が出た。指導3回となり、それによって出口クリスタの勝利が確定した。猛然と攻めていたホ・ミミの勢いは、虚しくも終わってしまった。
過程も結果も悔しいが、ホ・ミミは判定を受け入れるように出口クリスタと挨拶を交わした。初めてのオリンピックで金メダルを期待されたが、銀メダルで満足しなければならなかった。それでも2016年リオ五輪でのチョン・ボギョン(48kg級)以来となる女子柔道銀メダルだ。
ホ・ミミは父が韓国人、母が日本人の二重国籍者だ。独立運動家であったホ・ソクの子孫として、祖母の遺言に従い、韓国国籍を選択した。
韓国国籍を選んだ後は順調に進んだ。2023年の柔道国家代表選抜戦57kg級で優勝を果たした。昨年の杭州アジア大会では団体戦に出場し、グランプリ・ポルトガルでは金メダルを首にかけた。そしてアラブ首長国連邦で行われた2024年の世界柔道選手権でも頂点に立った。
韓国女子柔道はホ・ミミを先頭に、再び頂点を目指すことができるようになった。それでも1996年アトランタ五輪でチョ・ミンソン(66kg級)が金メダルを獲得して以降、金メダルはない。ホ・ミミが4年後のロサンゼルス五輪で再び金メダルを狙う可能性は十分だ。
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