北朝鮮が五輪の舞台に戻ってくる。
北朝鮮は今夏のパリ五輪で計7競技に出場し、男子4人、女子12人の計16人の選手を派遣したことがわかった。
7月23日、パリ五輪組織委員会の出場選手登録情報によると、北朝鮮は体操、陸上、ボクシング、飛込、柔道、卓球、レスリングに選手団を派遣した。
北朝鮮は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年の東京五輪に参加しなかった。選手が海外でコロナに感染して帰国した場合、医療設備が劣悪な北朝鮮国内で大規模なパンデミックが発生する恐れがあるという懸念のためだ。
東京五輪に参加しなかった北朝鮮は、国際オリンピック委員会(IOC)から国内オリンピック委員会(NOC)の資格を2022年末まで停止とする処分を受けた。このため、北朝鮮は2022年の北京冬季五輪に出場できなかった。
そして今回、処分が解除された北朝鮮は、パリ大会を通じて五輪の舞台に復帰することになった。
ただ、北朝鮮は世界的な競争力を誇る重量挙げにただ一人の選手も出場しない。
北朝鮮は“重量挙げ最強国”と言っても過言ではないほど、五輪で強さを発揮してきた。歴代の五輪で金メダル5枚、銀メダル8枚、銅メダル5枚を獲得しており、最後に出場した2016年リオ五輪では金メダル1枚と銀メダル3枚を獲得した。
それだけに、重量挙げは北朝鮮にとってメダル獲得を望める“得意競技”と言える。にもかかわらず、今大会に参加しない理由には“ドーピング”が挙げられる。
昨年の杭州アジア大会で、北朝鮮の重量挙げ代表はドーピング疑惑を受けた。
金メダル6枚、銀メダル5枚、銅メダル2枚と計13枚のメダルを獲得した圧倒的な好成績の裏に、ドーピングがあるのではないかという見方があったのだ。北朝鮮と並んで“重量挙げ最強国”の一角とされる中国がメダル9枚にとどまったのだから、疑うに値する。
実際、北朝鮮は昨年6月に五輪予選を兼ねてキューバで行われたIWFグランプリで、参加申請をしていながら本大会を欠場した。結果、北朝鮮からパリ五輪の重量挙げには一人も出場できなくなった。
国際重量挙げ連盟(IWF)は昨年5月に発表した声明で、「北朝鮮重量挙げの国際大会復帰に関して、加盟国がどのような意見を出しているのか聞いている。何を懸念しているのかも知っている」とし、「北朝鮮当局が正当なドーピング検査を妨害していると判断すれば、パリ五輪の出場資格に関して再評価する」と明らかにしたことがある。
北朝鮮が直近3年間でドーピング検査を受けていない状況で、グランプリに参加することを懸念する発表を伝えたのだ。
北朝鮮に限らず、重量挙げでは常にドーピングが問題になる。例えメダルを獲得しても、数年後にドーピングが摘発され、メダルをはく奪される選手が出てくる。五輪の正式種目から「重量挙げを外すべき」との見解が出る理由もここにある。
北朝鮮もこのような問題から自由ではないというのが、専門家の共通した見解だ。
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