“女帝”だからこそ可能な豪華ラインナップだ。
世界各国を飛び回り、各地で多くの選手と縁を育んできた元女子バレー韓国代表キム・ヨンギョン(36)が、世界的なスタープレーヤーとともにコートを熱く盛り上げた。
韓国では6月7日から9日にかけて、ソウルの蚕室(チャムシル)室内体育館で女子バレーのオールスターゲーム「KYK Invitational 2024」が開催された。
キム・ヨンギョンはベスト4に輝いた2021年東京五輪を最後に代表を退いた。
2004年に初めて代表入りしたキム・ヨンギョンは、これまで3度の五輪と4度のアジア大会に出場。2012年ロンドン五輪と2021年東京五輪では韓国をベスト4に導き、2014年仁川(インチョン)アジア大会では韓国女子バレーに20年ぶりの金メダルをもたらした。
そして今回、新型コロナウイルス感染症の影響で約3年間延期となっていた代表引退試合をついに開催した。
「KYK Invitational 2024」は7日のメディアデーを皮切りに、8日に「チーム大韓民国」対「チーム・コリア」による国家代表引退試合、そして9日には世界各国のスター選手を招待した「チーム・スター」対「チーム・ワールド」によるオールスターゲームを行い、会場に駆け付けたバレーファンを熱狂させた。
9日のオールスターゲームで、「チーム・スター」のキャプテンを務めたキム・ヨンギョンはせっせとコートを駆け回った。
日本やトルコ、中国などでプレーした際に築いた“親交”を活用し、選手たちに自らを渉外活動を行い、韓国国内でめったに見られないような世界のバレースターが一堂に会した。
また、この日は自身が所属する興国生命のマルチェロ・アボンダンツァ監督と、女子バレー韓国代表前指揮官のセサル・エルナンデス・ゴンザレス監督が両チームを率いた。
「チーム・ワールド」では、2016~2018年にフェネルバフチェ、2019~2020年にエジザージュバシュと、トルコで長年ともにプレーした“親友”の元ブラジル代表ナタリア・ペレイラ(35)がキャプテンを務めた。
ほかにも、2010-2011シーズンにJTマーヴェラスの初優勝をともにした元日本代表の井上琴絵(34)をはじめ、長岡望悠(32)やロシア代表のアンナ・ラザレワ(27)、ナタリア・ゴンチャロワ(35)、元タイ代表のプルームジット・ティンカオ(40)、元ブラジル代表のシェイラ・カストロ(40)、オランダ代表のマレト・フロットヒュース(35)、アルゼンチン代表のパウラ・ヤミラ・ニセティチ(35)、ベルギー代表のエレーヌ・ルソー(32)らも参戦した。
肝心の試合は、お互い“譲歩”はまったくなかった。オールスターゲームとはいえ勝負は五分五分。強烈なスパイクやハッスルプレーが相次いで繰り広げられ、ファンの感嘆を誘った。
得点後には独特なセレモニーも繰り広げられるなど、見どころも万歳だった。
特に、キム・ヨンギョンは持ち前の機転の良さを活かし、キスセレモニーと相手セレモニーを真似するなど、会場を笑いの渦に巻き込んだ。
同日の試合はビデオ判定がなかったが、キム・ヨンギョンは「チーム・スター」が21-24でリードされていた第1セットの終盤、審判に滑稽に抗議するジェスチャーを見せ、点数が認められるなどの面白さも提供した。
また、今イベントではNMIXXや歌手ギュビン、歌手テイらがゲスト出演し、コート上でステージを披露した。
そして、セットタイムはファンとともにした。キム・ヨンギョンはファンたちと一緒にボールを直接取り交わすなど、忘れられない思い出もプレゼントした。
「多くの方と一緒に引退式ができてとても嬉しい。泣きそうにはならないと思っていたが、少し泣きそうだ」とし、「太極旗(韓国国旗)をつけて、本当に長い間プレーした。 太極マークを夢見ながらプレーした幼い頃から今まで、多くの記憶が思い出される。心から感謝する」と、過去を思い出しながら涙を流した前日のキム・ヨンギョンはいなかった。この日は笑顔の花が咲き誇り、祝祭を楽しんでいた。
元チームメイトたちと抜群の連携も披露した。
計3セットの試合は70点に先に到達する方式で行われたが、キム・ヨンギョン要する「チーム・スター」が「チーム・ワールド」を70-68で下し、勝利を果たした。
試合後、キム・ヨンギョンは「多くの方が応援してくれたおかげで、良いパフォーマンスを発揮できた。オフシーズンにもかかわらず、最後まで全力で戦ってくれてありがたく思う」とし、「個人のタイトルを掲げてイベントを開催するのは簡単ではなかったが、やってみたかった。たくさんの助けがあったおかげだ。イベントのために努力してくださったすべての方々に感謝する。来年も続けていきたい」と願いを伝えた。
これに先立ち、キム・ヨンギョンは自身の名前を冠した「KYK奨学財団」を発足した。韓国バレー発展のための有望株発掘や育成のほか、他種目のスポーツへの支援も目標にした財団だ。
「長い間、財団の発足を準備してきた」というキム・ヨンギョンは、「困難も多かったが、ユーススポーツ活性化のための事業をいつも夢見ていたので、愛情を持って準備した。バレーファンが大きな力になった。KYK奨学財団はバレーボールだけでなく、多様なスポーツ人材を育成し、スポーツ全般に肯定的な影響を与えたい。ユーススポーツが発展してこそ、プロリーグと代表まで発展する」と力強く伝えていた。
◇キム・ヨンギョン プロフィール
1988年2月26日生まれ。韓国・京畿道出身。身長192cm。興国生命ピンクスパイダーズ所属。小学4年生からバレーを始め、2005年に新人ドラフト1位で韓国Vリーグの興国生命ピンクスパイダーズに加入。その後、日本のJTマーヴェラスをはじめトルコや中国など海外を転々とし、2020-2021シーズンに興国生命に11年ぶり復帰。その後、中国でのプレーを経て2022年6月に興国生命に再復帰した。東京五輪ではキャプテンとして女子バレー韓国代表をベスト4に導き、2021年8月12日に代表引退を発表。2019年8月からは『シッパンオンニ(食パンお姉さん)』という名前でYouTubeチャンネルを運営している。
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