韓国代表の新監督を探す協会の“プランA”が白紙になる気配だ。
韓国サッカー協会(KFA)の事情に詳しい複数の関係者は、「代表の新監督候補だったリーズ・ユナイテッド前監督のジェシー・マーシュ氏との交渉が難航している」と伝えた。“事実上の決裂”と言ってもおかしくない状況であることが確認された。
KFAはマーシュ氏を最有力候補に挙げて交渉を進めていたが、契約条件に関する双方の意見相違を縮められずにいるという。
マーシュ氏はリーズ監督時代、年俸だけで350万ポンド(日本円=約6億6832万円)程度を受け取ったとされている。冷静に考えて、KFAが現実的に耐えられるような年俸水準ではない。
KFAが代表監督に支払える年俸は、最大250万ドル(約3億8946万円)以下の水準だ。マーシュ氏が望む金額とは差が大きくならざるを得ない。そして懸念の通り、KFAは未だ交渉を終えられずにいる。
国家代表戦力強化委員会のチョン・ヘソン委員長はマーシュ氏を最有力補に挙げ、KFAもマーシュ氏で“事実上決定”の姿勢で接触した。そのほかにも候補はいるが、「まずはマーシュ氏」という構想で交渉に注力したという。
しかし、今回の交渉が決裂してしまえば、KFAは緊急事態に陥るしかない。直ちに国家代表戦力強化委員会を通じて新たな候補を選ばなければならないが、残りの候補の面々を見ると“重み”が落ちる。
ベジクタシュ元監督のシェノル・ギュネシュ氏は70歳を超える高齢だ。イラク代表監督のヘスス・カサス氏は、キャリアや指導力の面で韓国代表監督を務めるには“重み”が足りない。
ウォルヴァーハンプトンやボタフォゴで監督を務めたブルーノ・ラージ氏は、そもそも代表監督の経歴がまったくない。選手としても、監督としても代表チームを経験したことのない監督に代表監督を任せるのは難しい。
KFAがマーシュ氏との交渉に注力したのも、ほかの候補と比べて実績や経験の面ではるかに良かったからだ。逆に、残りの候補は“重み”が著しく落ちる。マーシュ氏と比較すると惜しさが残るしかない。
何より、“タイムリミット”が差し迫っている。
韓国代表は来る6月の北中米W杯アジア2次予選で、6日にシンガポール代表、11日に中国代表と戦わなければならない。
このため、KFAは5月中にも新監督を選出するという構想を練っていた。マーシュ氏との交渉が円滑に行われていたならば、十分に実現可能なシナリオだった。
だが、当初の計画と違って、KFAは最有力候補だったマーシュ氏の招へいが失敗に終わるものと見られる。
結論が出れば再び新たな候補を決めて交渉し、結論を出さなければならない。少なくない時間がかかるものと予想される。最悪の場合、6月のW杯予選も暫定監督体制で戦うことになる。
結果として、“重み”のある最終候補リストを確保できなかったKFAの行政力に残念さが残る。
特に、韓国代表監督に対し積極的な関心を示していた現フランス女子代表監督のエルヴェ・ルナール氏を候補に挙げなかった決定には疑問符が残る。ほかの候補と比べれば、ルナール氏は良い人選だという評価を受けている。
KFAの事情に詳しい関係者は、「マーシュ氏との交渉が行われない場合に備えるべきだったが、KFAは(マーシュ氏に)事実上“オールイン”したので、プランBが円滑に行われるのは難しい状態だ。選任にはさらに時間がかかるものとみられる」と懸念を示した。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ