ソン・フンミン(27・トッテナム)が、“ヘディング”で自らの沈黙を破った。
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1月23日(日本時間)のプレミアリーグ第24節ノリッジ・シティ戦で、ソン・フンミンは後半34分にヘディングで決勝弾を叩き込み、チームを2-1の勝利へと導いた。
ペナルティエリア右側からデレ・アリの放ったシュートが相手DFの足に当たり、エリア内で高く浮き上がったボールを見逃さなかった。ソン・フンミンはボールの軌跡を追ってゴールに走り込み、頭で合わせゴールネットを揺らした。
“エース”ハリー・ケインが負傷離脱しているなかで生まれたソン・フンミンのゴールに、ジョゼ・モウリーニョ監督も肩をなでおろしたことだろう。
昨年12月8日のバーンリー戦で決めた“70m独走ゴール”以降、ソン・フンミンは1カ月もの間、得点を挙げることができなかった。過去2試合のプレミアリーグでケインに代わり最前線のフォワードで出場したが、数度の得点チャンスを決めきれずスランプに陥っていた。
ソン・フンミンはノリッジ戦で左サイドに起用されると、ルーカス・モウラやエリック・ラメラら攻撃陣とポジションを入れ替えながら多彩なアタックを披露した。そして、試合終盤の決勝点で一躍チームの“ヒーロー”となり、笑顔を取り戻した。
特筆すべきは、足ではなく“頭”でゴールを決めたことだ。
2010年に18歳で、ドイツ・ブンデスリーガのハンブルクでプロデビューしたソン・フンミン。両足で巧みにボールをコントロールしながらスピードを兼ね備え、今ではトップクラスのアタッカーとして成長した。
しかし、ヘディングは決して得意ではなかった。ソン・フンミンはハンブルクからバイエル・レバークーゼンまで5シーズンを過ごしたブンデスリーガ時代、リーグやカップ戦、チャンピオンズリーグなど合わせて161試合に出場し、49得点を挙げた。
しかし、その内訳を見ると、左足で20得点、右足で25得点を決めている一方で、ヘディングによるゴールはわずか4得点にとどまっている。
プレミアリーグ挑戦以降も同様だ。プレミアデビュー初年度の2015-2016シーズンは8得点を記録すると、2016-2017シーズンには21得点で、欧州でプレーするアジア人歴代最多の1シーズン得点新記録を打ち立てたが、ヘディングによるゴールは1つもなかった。
2017-2018シーズンにやっと頭でのゴールが生まれた。2017年12月14日のブライトン戦で初めてヘディングシュートを決めると、3月4日のハダースフィールド戦ではダイビングヘッドを叩き込んだ。
だが以降、ソン・フンミンはヘディングシュートを決められずにいた。
つまり、ノリッジ戦のヘディングで決めた決勝ゴールは、2シーズン前のハダースフィールド戦以来、実に690日ぶりとなるのだ。
ソン・フンミンはプレミア進出後、チャンピオンズリーグなど欧州の強豪クラブとの戦いで自身の存在価値をもっと輝かせるため、ヘディングに練習時間を割いたこともある。ゴールを決めるためには“全身が武器”にならなければならないという意志の表れだ。
スランプに苦しんだここ1カ月間を乗り越え、年明け以降ゴールのなかったソン・フンミンが“ヘディング”で沈黙を破ったことには大きな意味があるだろう。
今回のヘディングゴールをきっかけに、ソン・フンミンが再び持ち前のテクニックとスピードを生かし、素晴らしい活躍を披露してくれることに期待したい。
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