“内紛騒動”で物議を醸したサッカー韓国代表キャプテンのソン・フンミン（31）とイ・ガンイン（22）が両者間で和解したにもかかわらず、韓国の政治家がイ・ガンインに対する苦言を現在も続けている。
大邱（テグ）広域市のホン・ジュンピョ市長は2月21日、政治プラットフォーム「青年の夢」内の質問コーナー「青聞洪答（チョンムンホンダプ）」で、「ソン・フンミンとイ・ガンインが公式に和解したそうです」との質問に「2人が和解したからと言って黙認することなのか」「和解は酌量減軽事由に過ぎない。だからといってあの心根はどこに行くんだ」と問い返した。
韓国代表はアジアカップ終了後、大会期間にチーム内で“内紛”が起きたとして物議を醸した。
準決勝前夜、イ・ガンインら若手が卓球をしようと夕食を早めに切り上げたところ、食事の席を“団結”の場と捉えるソン・フンミンが制止。そこで若手とベテランの間で口論が起き、その過程でソン・フンミンは指を負傷した。
この騒動によって、イ・ガンインは「キャプテンのソン・フンミンに歯向かった」としてSNSやネット上で多くの非難に見舞われた。
そんななか、本人は英ロンドンに直接訪れてソン・フンミンに謝罪。ソン・フンミンもそれを受け入れ、自身のSNSでツーショット写真を公開するとともに、「ガンインがとても大変な時間を過ごしています。寛大な心で許してほしいです」と世論に訴えかけていた。
当事者2人が和解を表明したことで騒動は収束に向かっているが、ホン市長は今もイ・ガンインのことが許せないようだ。
実際、「青聞洪答」ではほかにも「イ・ガンイン選手に関する批判はもうやめてください」と題し、次のような質問も寄せられた。
「イ・ガンイン選手が先輩たちに謝罪し、立場を明らかにした状況で“和解したからと言って黙認することではない”という市長の立場は理解しがたいです」
「ただでさえ市長に対するサッカーファンの非難は激しくなっているのに、ずっと油を注ぎ続けている理由が本当に気になります。市長が現場にいたわけでもなく、すべての国民があの場所で何が起きたかはわかりません。当事者だけが知っていることであり、その当事者たちが状況をもう終了させました」
「イ・ガンイン選手が今後代表としてプレーする日が少なくとも10年は残っていますが、その度に人間性を批判するのですか？各種記事で市長が選手分断化の世論の先鋒になっているようで残念です」
このような訴えにも、市長は「お互いの考えは尊重されなければならない。私と違う考えがあったとしても、そのような非難は困る」とし、「私はそのような性格を持った人間が嫌いだ」と真っ向から反論していた。
なお、ホン市長はソン・フンミンとイ・ガンインが和解を発表する以前の16日にも、「ボールを蹴る前に、先輩と後輩はお互いに尊重しなければならないのに、少し活躍したからと言って遠慮なく行動する人はチームワークを損ね、代表チームのパフォーマンスを低下させる。サッカーのような団体スポーツはチームワークが重要なのだから尚更だ」とイ・ガンインを痛烈に批判。
「これを機に、代表選手も礼儀がない人間、見た目だけ良くて和を乱す人間は整理すべきだ。国民的行事の代表戦を祝祭として楽しめるよう、そのような人間は退出させなければならない」と辛辣な見解を伝えていた。
◇イ・ガンイン プロフィール
2001年2月19日生まれ。韓国・仁川広域市出身。身長174cm。大韓民国のサッカー選手で、サッカー大韓民国代表。幼少期に出演したKBSサッカーバラエティ番組『飛べ、シュットリ』で類まれなる才能を発揮し、“神童”として一躍注目を集めた。2011年にスペインに渡りバレンシア下部組織に入団し、2018年10月にトップチームで公式戦デビュー。2021年夏にフリーでマジョルカに加入、2023年夏にフランスのパリ・サンジェルマンに完全移籍。マジョルカ時代の同僚である日本代表MF久保建英（レアル・ソシエダ）とは同じ2001年生まれで、普段から仲が良いことで知られている。
◇ソン・フンミン プロフィール
1992年7月8日生まれ。韓国・江原道出身。身長183cm。大韓民国のサッカー選手で、サッカー大韓民国代表キャプテン。小学校と中学校ではサッカー部に所属せず、韓国代表経験のある父ソン・ウンジョン氏から直接指導を受けていた。2010年にドイツ・ブンデスリーガのハンブルガーSVでプロデビュー。その後、2013年に移籍したバイエル・レバークーゼンで2年連続二桁ゴールを披露し、2015年にプレミアリーグのトッテナム・ホットスパーへと移籍。愛称は“Sonny（ソニー）”。
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