森保一監督率いるサッカー日本代表は、最初から決勝トーナメントを想定し、徹底的に選手のコンディションを管理している。
グループステージの時点から、負傷者を除いてFWソン・フンミン(31、トッテナム)やMFイ・ガンイン(22、パリ・サンジェルマン)を筆頭にベストイレブンを概ね固定化した韓国代表のユルゲン・クリンスマン監督とはかなり対照的だ。
すべてのスポーツにおいて、“選択の成功”は結果に表れる。
ただ、森保監督はよく優勝候補が大会を戦うときに臨む教科書的な方式でチームを運営している。
アジアカップ通算4度の優勝を誇る日本は、今大会を前にFW三笘薫(26、ブライトン)やMF久保建英(22、レアル・ソシエダ)など一部主力選手が負傷し、“黄信号”が灯った。
ただ、グループステージ期間は久保も復帰に成功し、特別な負傷者も出すことなく決勝トーナメントを迎えることになった。
一方、韓国は大会前までは特に負傷者はいなかったが、キャンプの過程でDFキム・ジンス(31、全北現代モータース)など一部主力が負傷。
グループステージの間にはGKキム・スンギュ(33、アル・シャバブ)が右膝の十字靭帯断裂で離脱し、左サイドバックのDFイ・キジェ(32、水原三星ブルーウィングス)も負傷で戦列を離れている。
W杯でも、ブラジルやフランスなど強力な優勝候補は、グループステージではなく決勝トーナメントに合わせてチームのコンディションを引き上げる。
グループステージ序盤で期待されるほどのパフォーマンスが出ない理由もそこにある。
グループステージは通過できるよう効率的にマネジメントし、決勝トーナメント以降から計画通り主力のコンディションをピークに運ぶことで、莫大な力を発揮するというわけだ。
森保監督の意図も似ている。
日本はグループ初戦で最前線に欧州組ではなくFW細谷真央(22、柏レイソル)を起用するなど、部分的にローテーションを稼働した。
イラクとの第2節を1-2で落とした日本は、インドネシアとの第3節を迎える時点でまだ決勝トーナメント進出が確定していなかったにもかかわらず、先発を8人も変更した。
ただ、大胆なメンバー変更をしても、日本はインドネシアを3-1で破り、着実にグループを突破して見せた。
大会3得点を記録しているFW上田綺世(25、フェイエノールト)を筆頭に、久保やFW堂安律(25、フライブルク)、DF冨安健洋(25、アーセナル)など攻守の主力はグループステージで多くのプレータイムを消化しなかった。
徹底的に、“負けたら終わり”の決勝トーナメントに向けて身体のリズムを合わせている。
実際、久保だけを見ても、例え100%のパフォーマンスではなくても、インドネシアとの最終戦では持ち味の鋭いパスなどを披露していた。試合の体力や感覚が蘇っていることを証明した形だ。
強豪の定石通りのチーム運営をする日本。そんな“宿命のライバル”の戦いぶりは、“100%”を叫びながらも思うようにパフォーマンスが上がらない韓国も見習うべきだろう。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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