“永遠のライバル”と呼ばれる韓国と日本が、いずれも過去最多の欧州組を中心にアジアで“レベルの違う”歩みを見せている。
アジアの頂点を決めるアジアカップ開幕まで約2カ月を切ったなか、早くも“夢の対決”を期待する声は多い。ライバル同士の両国をめぐる雰囲気は最高潮に達している。
ユルゲン・クリンスマン監督率いる韓国代表は、今月行われた2026年北中米W杯アジア2次予選の2連戦でシンガポールにホームで5-0、中国にアウェイで3-0とそれぞれ大勝した。
ピッチ上では激しいプレーが飛び交い、場内が満員の観衆で埋め尽くされる中国でのアウェイゲームはどんな強豪でも苦戦を強いられる。
ただ、韓国はキャプテンのFWソン・フンミン(31、トッテナム)が2ゴール1アシストの大活躍で中国を簡単に制圧し、強烈なインパクトを残した。
特に、今回の2連戦はクリンスマン監督に対する否定的な世論を鎮める決定的な契機となっている。
指揮官は今年2月の就任以降、頻繁な外遊や国内組を軽視するような態度で批判を浴びていた。
実際、10月にホームで開催した親善試合2試合では、電光掲示板でクリンスマン監督が紹介されると数万人の観客がブーイングをしていた。代表監督がホームでの試合前にブーイングを受けるのは異例のことだ。
何より、クリンスマン監督は就任以降の5試合で3分2敗の未勝利が続いたこともあり、早期解任の話も浮上していた。
それでも、直近5試合で19得点無失点の全勝という成績を上げ、巻き返しに成功した。
メンバー構成の固定化やアクシデントが生じた際のプランBの有無、国内組に対する分析が疎かだという批判もあるが、少なくとも主力を中心としたプランAのサッカーは結果を残している。
クリンスマン監督の長所として挙げられるのは、ソン・フンミン、MFイ・ガンイン(22、パリ・サンジェルマン)、DFキム・ミンジェ(27、バイエルン・ミュンヘン)と攻守の骨組みの役割を担う欧州組に最大限自立性を与え、代表チームでも彼らのパフォーマンスを最大限引き出しているということだ。
これまで欧州組は所属チームでこそ大活躍するも、時差によるコンディション調整の失敗、戦術的な理由などにより、招集期間の短い代表ですぐに影響力を発揮することができなかった。
ただ、クリンスマン監督は練習から実戦まで主力メンバーに配慮し、意思も最大限反映している。
加えて、現役時代にドイツ代表ストライカーとして活躍したスター選手出身らしく、普段から「アジアカップ優勝が目標」と明らかにし、コーチ陣や選手の“盾”の役割を果たして信頼を得ている。
韓国はカタールで行われるアジアカップで64年ぶりの優勝を目指している。
しかし、優勝までは決して簡単な道のりではない。
イランやサウジアラビアなど中東の強豪だけでなく、韓国に劣らない史上最強の戦力で注目を集める“ライバル”日本という存在のためだ。
韓国と日本は昨年のカタールW杯でともにベスト16入りを果たし、アジアサッカーのプライドを見せつけた。
ただ、韓国がパウロ・ベント前監督と別れを告げ、クリンスマン監督を新たに選任したのと異なり、日本は森保一監督の続投を選び、“継続性”を前面に出した。
自国の指導者が代表を率いてW杯で成功した後、さらに戦力を引き上げることは容易ではない。だが、森保監督は熟練した戦術と選手起用によって、日本を直近の国際Aマッチ8連勝に導いている。
今月のW杯2次予選でも、ミャンマーとシリアをどちらも5-0で制した。9月には“戦車軍団”ドイツにアウェイで4-1と大勝して世界を驚かせ、カタールW杯でドイツとスペインをともに2-1で下し、“死の組”と呼ばれたグループを首位で通過したことが決して偶然ではないことを立証した。
日本はアジアカップで2011年大会以来の優勝に挑む。
アジアカップのグループステージでは、韓国がマレーシア、ヨルダン、バーレーンと同じグループE、日本がインドネシア、イラク、ベトナムと同じグループDに入っている。
ともに予想通り首位通過すれば、両国が対戦が実現するのは決勝となる。日韓だけでなく、アジア全体のサッカーファンにとって“夢のマッチアップ”となるに値する。
そんな韓国と日本は、約束でもしたかのようにワールドクラスの欧州組が中軸を担っている。まるで漫画に出てきそうな競争構図だ。
韓国は攻守をソン・フンミンやイ・ガンイン、キム・ミンジェ、FWファン・ヒチャン(27、ウォルヴァーハンプトン)、MFイ・ジェソン(31、マインツ)らが支えるなら、日本はFW浅野拓磨(29、ボーフム)、MF久保建英(22、レアル・ソシエダ)、FW堂安律(25、フライブルク)、MF南野拓実(28、モナコ)、MF鎌田大地(27、ラツィオ)、DF冨安健洋(25、アーセナル)らを擁している。
韓国と日本がともに最精鋭のメンバー同士で対戦したのは、12年前の2011年アジアカップ準決勝が事実上最後だったと言える。当時はPK戦の末に日本が勝利していた。
果たして、アジア最高権威の国家対抗戦であるアジアカップでともに史上最強戦力の“日韓戦”が繰り広げられるのか、本大会を楽しみに待ちたい。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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