「今日の敗北はイ・セドルの敗北であって、人間が敗北したのではないと思う」
イ・セドル九段は2016年、世紀の対局と呼ばれた人工知能(AI)「AlphaGo」との5番勝負で3連敗した後、上の名言を残して大きな話題を集めた。
それでもイ・セドルは続く第4局で奇跡的な初勝利を収め、世界中の囲碁ファンを驚かせた。当時イ・セドルが第4局で見せた一手は、現在も“神の一手”と評価されている。
総合成績では1-4と敗れたが、第4局の勝利でイ・セドルは、AlphaGoに唯一の敗北を味あわせた人間として記録されることになった。
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そんなイ・セドル九段が12月18日、再びAIと向き合った。24年4カ月の現役生活を締めくくる引退対局だ。
今回、彼が向き合った相手はAlphaGoではなく、韓国のAI「ハンドル」である。ハンドルはNHNが開発したAIで、去る8月に行われた中国で行われた「2019中信証券杯 第3回世界電脳囲碁オープン戦」で3位に上がった強者だ。
ハンドルもAlphaGoのように、複数の棋譜を自ら学習するディープラーニング技術を利用するが、複数の人工知能がそれぞれの結論を出した後、最終的な値を決定する方式となっており、一段階進化したとの評価を受けている。これまで5度にわたってプロ棋士と対局していずれも勝利しているため、イ・セドルにとって有利な勝負ではない。
12月18日、ソウルで行われた「ボディフレンド・ブレイン・マッサージ杯イ・セドルVSハンドル」の第1局は、3年間で飛躍的に進化したAIのレベルを考慮して、イ・セドルが先に2子を置いて開始する置き碁だった。
解説を引き受けたキム・マンス棋士は、50対50と予想しながらも、ハンドルが若干有利と予想した。
実際に対局序盤、イ・セドルは苦戦した。ハンドルの鋭い攻撃にイ・セドルは守勢に回り、難しい対局となった。中盤に入ってもハンドルの攻略の突破口を見出せず、苦しい表情を隠せなかった。
しかしハンドルが突然、エラーに近いとんでもない一手を放ち、状況は一変した。
イ・セドルはハンドルのエラーを逃さなかった。たちまち包囲網を破って形勢を逆転させ、勝負を決めた。2時間10分あまりの短い対局は、運を味方につけたイ・セドルの勝利に終わった。
イ・セドルは12月19日にソウルで第2局、21日に全羅南道・新安(シンアン)で第3局を行う。第1局で勝利したため、第2局は互先で行われる。
今回の3番勝負でイ・セドルは、基本対局料1億5000万ウォン(約1500万円)のほか、1勝するたびに勝利手当5000万ウォン(約500万円)を追加で受け取る。2016年のAlphaGoとの対局では、対局料と勝利手当の計2億ウォン(約2000万円)を手にした。
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