イギリスをはじめ、欧州各国メディアがソン・フンミン(27・トッテナム)のパフォーマンスにスポットライトを当てている。記録よりも彼が行ったセレモニーや、それにまつわるストーリーが大きな話題となっている模様だ。
2019年11月7日。この日はソン・フンミンに関する報道が多くあふれた日となった。
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まず、ピッチ上で残した成績が飛び抜けていた。UEFAチャンピオンズリーグのグループリーグ第4戦ツルヴェナ・ズヴェズダ(セルビア)とのアウェー戦で2ゴールを決めたソン・フンミンは、シーズン序盤から不調を抜け出せずにいるチームに気持ちの良い勝利をもたらした。
トッテナムはソン・フンミンの2ゴールを含む大量4得点を挙げ、4-0の大勝で決勝トーナメント進出に迫った。
しかし、ソン・フンミンは謙遜したセレモニーを見せた。後半57分の1ゴール目では、両手を合わせて頭を下げ、去る11月4日のリーグ戦で自身のタックルが原因で負傷したアンドレ・ゴメス(エバートン)へ向けて、謝罪のメッセージを伝えた。
自分のゴールに対しては感情を爆発させることなく、チームメイトと抱擁して喜びを分かつ程度にとどめた。
“韓国を代表する選手”としては、このゴールはとても喜ばしいものであった。この試合で欧州通算123ゴールの個人記録を更新し、韓国サッカー界の英雄チャ・ボムグンが持つ韓国人欧州最多得点記録(121ゴール)を塗り替えたからだ。
それでも、ソン・フンミンは自身の栄誉よりも仲間の安寧を願った。
試合後ソン・フンミンは、イギリスの衛星放送局『BT sport』とのインタビューで「本当に苦しい時間だった。でもファンやチームメイトから応援を受け、自分が運の良い人間であることを再度感じることができた。(ゴメスの負傷と関連し)本当に申し訳ないと伝えたい。それでも僕はチームに集中し、前へと進まなければならない。それは、僕を支持してくれるファンへのリスペクトにもなるからだ」と、この数日間を振り返った。
現地メディアも、ソン・フンミンのスポーツマンシップに賛辞を送った。
イギリス公共放送『BBC』は、「ゴメスの負傷でとてつもないショックを受けたソン・フンミンが、後半に2得点を挙げた。彼は自身の1点目を祝福する代わりに、両手を合わせて頭を下げた」と得点シーンの模様を詳細に伝えた。
英メディア『ザ・サン』ホームページのサッカーセクションでは、「ズヴェズダ戦のゴールを重傷を負ったゴメスに捧げたソン・フンミン」という見出しの記事が大きく取り上げられた。
ゴメスの負傷後、沈黙を貫いてきたソン・フンミンの反応に憂慮を示していた同メディアは、「ソン・フンミンは2ゴールを決めた後、ゴメスに関連した話題に口を開いた。インタビューを通じて申し訳なかったと話す前に、セレモニーで謝罪の意を見せた」と報じた。
イギリスのサッカー人も、ソン・フンミンの特別なセレモニーに注目したようだ。
1986年メキシコワールドカップの得点王であり、イングランドサッカーを代表する選手であったゲーリー・リネカーは、試合途中に自身のSNSを通して「ソン・フンミンはスーパーゴールを決め、カメラに近づきレンズを見つめ、申し訳ないと伝えた。ゴメスに向けたものだろう。良くできた行動だ」と称賛した。
同じくイングランドを代表する名DFだったリオ・ファーディナンドは『BT sport』に出演した際、「ソン・フンミンのセレモニーに悔恨が見える。誰も彼を非難する者はいないだろう。ゴメスの負傷は不運であったし、ソン・フンミンの対応は完璧だった」と高く評価した。
ソン・フンミンは今シーズン、早くも7ゴール目を記録した。プレミアリーグ(2点)よりも、欧州各国のスターが集うCL(5点)で多くのゴールを決めている。
ズヴェズダ戦を通じて、ソン・フンミンが見せたセレモニーやマナーが、彼が持つ実力同様に欧州トップレベルであることが認められた。
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