バス囲みに辞任要求…横浜FM天野純もいる韓国強豪に異常事態、大不振でファンと関係悪化のドロ沼

横浜F・マリノスからレンタル中の元日本代表MF天野純(31)らが在籍する韓国Kリーグ1(1部)の全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースが、2023年シーズン序盤から泥沼に陥っている。

【写真】「消えろ」「出ていけ」全北現代サポーターの怒号

全北現代は現在、Kリーグ1第5節までを終えて1勝1分3敗の勝ち点4とし、12チーム中8位に沈んでいる。

一方、昨季Kリーグ1王者で元浦和レッズの元日本代表MF江坂任(30)らが所属する蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)は、5戦全勝の勝ち点15で首位を独走。毎年熾烈な優勝争いを繰り広げる2チームが、今季は開幕5試合の時点で11ポイント差も離れている。

辞任要求のコール、横断幕…全北現代ファンの怒り

何より、全北現代がこの先蔚山現代を“追撃可能”かどうかにも疑問符がつく。いつにも増して悪いスタートだ。

結果よりネガティブなのはその試合内容だ。全北現代は、昨季後半戦で見せた相手を圧倒するパフォーマンスを取り戻せずにいる。

前半は上手く行っても、後半で急激にパフォーマンスが落ちるケースが毎度のように発生し、いざ危機に直面して巻き返すことができないパターンを繰り返している。

開幕5試合で記録した得点数はわずかに5点で、失点数は7点。攻守両方で難局に直面している。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)浦項戦で敗れ落胆する全北現代の選手たち

苦戦の要因には負傷者が続出していることも挙げられるが、Kリーグ屈指の選手層を誇る全北現代であれば、致命的な悪材料と見ることは難しい。全北現代は十分にターンオーバーを敷くことができるチームだからだ。

もっとも、まだシーズンも序盤なだけに今後改善される余地は十分ある。だが、現在の雰囲気は明らかに普通ではない。試合内容や結果はさることながら、ピッチ外も騒がしいためだ。

最大の原因は、チームを率いる指揮官とファンの間で“感情の溝”が深まっている点が挙げられる。両者の関係悪化は大きなリスクになりかねない。

キム・サンシク監督は最近、全北現代ファン・サポーターの激しい抗議を浴びた。

去る4月1日、ホームの全州(チョンジュ)ワールドカップ競技場で行われた浦項(ポハン)スティーラーズ戦の試合中、全北現代サポーターはキム監督、そしてホ・ビョンギル代表取締役の辞任を要求するコールを叫んでいた。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)試合前、抗議の横断幕を掲げる全北現代サポーター

試合は全北現代が1-2で敗戦。すると、サポーターたちは試合後、会場の外で選手や監督の乗るバスの通路を塞ぎ、再び激しく抗議した。

選手たちの乗るバスは先に送り出されたが、キム監督は自身に責任を問うサポーターたちと2時間近く対峙し、神経戦を繰り広げるなど、由々しき事態が起きていた。

本拠地でもファンに「応援されなくなった」全北現代

そんななか、多くのKリーグ関係者は一部のファンやサポーターに対し、彼らの意志表現の方法に問題意識を感じている。

チームのふがいない結果に対し、ファンが抗議をするのは理解できる。ただ、それがあまりに過激な方向に流れてしまうことを憂慮しているのだ。実際、度を越えた発言が出たり、激しい罵詈雑言が飛び交ったりするなど、お互いに感情を傷つけた事例もある。

チームとファンの間の“コミュニケーション”とは建前で、実際には一方的な集中砲火がなされ、結論が出るというのが現実だ。

これには江原(カンウォン)FC率いるチェ・ヨンス監督も、「過度な叱責というより、適切なラインで批判をすることが必要だ。批判をするにしても、度合いを適切に調節にしてくれることを願う」と要請していた。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)「キム・サンシク、ホ・ビョンギル出ていけ」と書かれた横断幕

ただ、過度な批判に対する是非とは別に、ファンやサポーターが直接乗り出してまで、これだけ激しい抗議をする意味がなぜなのかを振り返る必要もある。特に、現在の全北現代の状況を見ればなおさらだ。

2017年から2021年まで前人未到のKリーグ5連覇という偉業を成し遂げた全北現代だが、昨季はライバルの蔚山現代に王座を奪われ、リーグ優勝に失敗した。それも単に優勝を逃したのではなく、これまで見せていた激しくも爽快感のあるサッカーを見せられなかったことがファンの不満を買った。

それでも、来季こそは“強い全北現代”の姿を見せてくれるだろうと、キム監督を信じて支持したファンも少なくなかった。チームも王座奪還へ大型補強に乗り出し、前出の天野をはじめ、元浦和のブラジル人FWラファエル・シルバ(31)や元韓国代表FWイ・ドンジュン(26)など即戦力を多数獲得した。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)ラファエル・シルバ(左)

しかし、いざシーズンが始まりもどかしい戦いぶりが続いたことで、応援する名分もなくなった。

全北現代のホームである全州ワールドカップ競技場は、かつては“アウェイチームの墓場”と呼ばれるほど、全北現代がめっぽう強い姿を見せていた。だが、現在の全北現代はホームゲームであっても、ファンやサポーターの応援を受けられないチームとなっている。

ゴールを決めてもぎこちない雰囲気が演出され、選手を激励する拍手や声援の代わりに、監督と代表取締役の辞任を要求するコールだけが鳴り響くスタジアムとなってしまった。

ネガティブなコールが響き渡る状況ではあるが、選手の士気に悪影響を及ぼすことを避ける方法がない。昨季から続いた葛藤によって、チームもファンも全員が傷つき、その傷がさらに深まる悪循環が繰り返されている。

なお、ファンの激しい批判にさらされているキム監督は浦項戦の試合後、チームの深刻な不振について「監督として無限の責任を感じる」とし、現状を惜しむ気持ちを表していた。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)キム・サンシク監督

Kリーグが開幕した2月末から早くも1カ月が過ぎ、季節も春を過ぎようとしている。ただ、全北現代を取り巻く空気はまだ冷たい。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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