総額18億ウォン(日本円=約1億8000万円)の契約は、“新米監督”としては歴代最高の待遇だ。
これまでは、中日ドラゴンズで活躍したソン・ドンヨル監督が2004年末にサムスン・ライオンズと5年総額15億ウォン(約1億5000万円)で契約したのは従来の最高額だったが、イ・スンヨプ新監督が18年ぶりに更新することになった。
5億ウォン(約5000万円)という年俸額は、昨季にKTウィズを球団初優勝に導いたイ・ガンチョル監督と同じだ。
イ監督はネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)や斗山のヘッドコーチを経て、2018年にKTと3年総額12億ウォン(約1億2000万円)で契約。そして、昨季の球団初優勝後に3年総額20億ウォン(約2億円)で再契約した。これを見ても、斗山がいかにトップレベルの待遇でイ・スンヨプ新監督を迎え入れたかがわかる。
斗山で監督としての第一歩を踏み出すイ・スンヨプ新監督は、就任に際し次のようにコメントした。
「現役時代、野球ファンの方々から大きな愛を受けた。だからこそ、指導者としてその愛を返さなければならないと思った。そこで富山が手を差し伸べてくれて、悩んだ末に決断した。これまで大きな声援を送ってくださったサムスンファンに感謝の言葉を必ず伝えたい」
「恋焦がれていたグラウンドを5年ぶりに踏むことになる。現役時代に韓国と日本で得た経験に、KBO技術委員と解説で見て学んだ点を加え、選手を一つにまとめたい」
「華やかさよりも、しっかりとした基本技術を土台に、ファンに感動を届けられる野球をお見せしたい」
斗山のキム・テリョンGM(ゼネラルマネージャー)は、「(監督選任は)急ピッチで進められた。チームを再建しなければならない状況で、“プロ選手はトレーニングを通じて基礎を固め、成長しなければならない”というイ・スンヨプ監督の野球観が合致すると感じた。イ・スンヨプ監督の哲学をチームに溶け込ませるよう支援する」と伝えた。
1976年10月生まれのイ・スンヨプは、1995年に高卒ルーキーとしてサムスンに入団した後、2017年の引退まで韓国プロ野球だけで通算1906試合に出場した。現役時代に放った467本塁打は韓国プロ野球最多記録であり、1498打点も歴代1位の数字で、韓国でプレーした15シーズンで通算打率0.302を記録した。
2004年からは日本に渡り、千葉ロッテ、巨人、オリックスの3球団で通算8シーズンプレーした。NPBで797試合に出場したイ・スンヨプは、主に巨人で4番打者として活躍し、41本塁打、108打点、101得点、打率0.323を記録。“アジアの大砲”として多くの野球ファンに愛された。
そんなイ・スンヨプは現役時代に数多くの大記録を樹立している。
2003年には歴代シーズン最多本塁打(56本)を樹立し、最年少100安打、最年少・最少試合200本塁打、7シーズン連続30本塁打など、本塁打に関するほぼすべての記録を打ち立てた。
韓国プロ野球のゴールドグラブ賞には10度選ばれ、正規リーグMVPも5度受賞と、いずれも最多を記録した。
野球韓国代表での活躍も華々しく、2008年北京五輪では日本との準決勝、キューバとの決勝でいずれも本塁打を放ち、韓国の金メダル獲得をけん引したことで“国民打者”と呼ばれるようになった。
イ・スンヨプは2017年の現役引退後、自身の名を冠した「イ・スンヨプ野球奨学財団」を設立して少年野球の育成と支援に注力した。ほかにもKBO広報理事、SBS解説委員などとして活躍し、セカンドキャリアでも野球界に貢献し続けてきた。
これまでアマチュアでも一度も指導者経験はないものの、豊富な経験と強い勝負欲、謙遜で繊細な性格などが、チーム再建に取り組む斗山の方向性と合致した。
イ・スンヨプ新監督は、17日に利川(イチョン)のベアーズパークで始まる最終キャンプからチームを指揮する。監督選任と同時並行で進めているコーチングスタッフの改編も、早いうちに完了する予定だ。
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