韓国Kリーグにおける審判の判定を巡る議論は、昨日今日に限ったことではない。
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彼らは「審判に対する権威と尊重の価値」を掲げているが、公正性に基づいた判定の水準は、選手や監督、ひいてはファンを満足させるに至っていない。
リーグの発展は選手、監督、各クラブのフロントだけに責任があるわけではない。審判もれっきとした構成員の一人だ。
そのような点でも、技術が発展した今も依然として審判に対する信頼が底をついているのは、Kリーグの暗鬱な一面を如実に表している。
そもそも、審判の運営主体がKリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟から韓国サッカー協会に変わって以降、審判のレベルは改善されるどころか退歩している印象があり、その憂慮は大きい。
Kリーグの審判業務は2020年からKFAに移管された。KFAは当時、「審判運営の透明性を強化する」とし、判定と関連したメディアのブリーフィングを実施することを約束していた。
しかし、一度だけ公開ブリーフィングが行われて以降、再びKFAが公開ブリーフィングを開催することはなかった。それどころか、昨季まで毎節終了後には審判評価会の結果がKFA公式ホームページの公示事項に掲載されていたが、今季はそれすらもなくなっている。
理由は簡単だ。審判運営がKFAに移管して以降、判定を取り巻く雑音が以前よりも増えているためだ。
誤審が増加傾向は「事後懲戒」と「事後減免」の回数から伺うことができる。
Kリーグでは退場性の反則に対してレッドカードが提示されなかった場合、「事後懲戒」として出場停止2試合が当該選手に付与される。一方、退場性の反則でないにもかかわらず、レッドカードが提示されたり、イエローカードの累積2枚のうち1枚が提示されたりした場合は、「事後減免」として出場停止処分が取り消される。
韓国プロサッカー連盟が報道資料などを通じて公開した直近5年間の「事後懲戒」「事後減免」の回数を見れば、審判運営がKFAに移管されて以降、誤審が大幅に増えていることが確認できる。
韓国プロサッカー連盟が運営主体だった2017年から2019年まで、誤審の回数は各年5回、3回、4回だった。
ところが、KFAが運営主体となって以降、初年度の2020年は5回で、昨年は10回を記録。なんと1年間で誤審が2倍に増えた。
そして今年、Kリーグ1(1部)では第17節終了時点ですでに7回も誤審が発覚している。Kリーグ1が全38節であり、まだシーズンも折り返したばかりであることを考慮しても、この多さは異例と言っても過言ではない。
ちなみに、得点やPKの判定を巡る誤審があった場合、後日正されることはないが、経国や退場と関連した誤審が増えたということは、また別の事象に関する誤審が増えた可能性が高い。
誤審が増えた最大の理由としては、審判の運営主体が変わったことで、判定の一貫性が以前と比べてなくなったためだという見解が出ている。
判定の一貫性のなさは、6月26日に蔚山文殊サッカー競技場で行われたKリーグ1第18節の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)対城南(ソンナム)FCで特に見られた。
横浜F・マリノスから蔚山現代にレンタル移籍中の元日本代表MF天野純(30)も出場していたこの試合では、異例にも試合終盤にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が3度も発動され、後半アディショナルタイムの“アディショナルタイム”が加えられた。結局、試合は前後半で計100分以上も行われることになった。
現場にいたすべての関係者が首をかしげたくなるような判定だった。
後半31分、蔚山現代は天野が敵陣ペナルティエリア内で相手からボールを奪取しようとした際に接触し、PKを獲得した。ただ、VARによる確認の結果、相手との接触はなかったとの判定が下され、PKは取り消された。この判定までは特におかしな点はなかった。
ところが後半アディショナルタイム、蔚山現代がFWオム・ウォンサン(23)のゴールで劇的に勝ち越したに見えたが、ここで審判陣は2度目のVARを発動。オム・ウォンサンのゴール直前、FWパク・チュヨン(36)が相手DFとの競り合いの過程で反則を犯したとし、得点を取り消したのだ。
そして、後半アディショナルが10分を経過した頃、前線で攻撃に参加していた蔚山現代のDFイム・ジョンウン(32)が、ペナルティエリア内で相手DFチャン・ヒョジュン(22)の足に引っかかって倒れた。
実際の試合映像では、クロスが上がった状況でお互いに身体が衝突したのではなく、チャン・ヒョジュンが足を伸ばしたことによって、イム・ジョンウンが前進できず倒れてしまったように映った。
直前にパク・チュヨンの反則で蔚山現代の得点を取り消したのであれば、イム・ジョンウンとチャン・ヒョジュンの事象でも同じ物差しで判定を下すべきだった。しかし、審判陣は3度目のVARでは「ノーファウル」を宣告した。
結局、試合は0-0のスコアレスドローで終了することになった。
ホームチームが異例ともいえる3度のVARに泣き、勝ち点2を落としたこの日の試合。首位相手に貴重な勝ち点1を奪取したアウェーの最下位・城南FCとしても、どこか気まずい雰囲気だった。
一貫性がなく、すべての関係者を混乱の渦に陥れた審判陣の判定に、声出し応援が解禁されている観客席からは激しいブーイングが沸き起こっていた。
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