「選手たちはまだ満足していない雰囲気だ。だからこそありがたい」。韓国代表キャプテンでありエースを担うFWソン・フンミン(29、トッテナム)が、より高みを目指すチームメイトの意志に感謝の気持ちを表した。
【写真】アイドル顔負け…ソン・フンミンのファッション誌グラビア
韓国代表は本日(3月24日)、ホームのソウルワールドカップ競技場で行われるカタールW杯アジア最終予選グループA第9戦でイラン代表と対戦する。
今回の代表メンバーには、前回の最終予選を欠場したソン・フンミンが合流した。ソン・フンミンは去る21日に行われたプレミアリーグ第30節ウェストハム・ユナイテッド戦を終えた後、22日に韓国代表の練習拠点である坡州(パジュ)のサッカー国家代表トレーニングセンター(NFC)に合流した。
イラン代表とは通算対戦成績で9勝10分13敗と負け越しており、直近11年間の対戦では一度も勝利したことがない。
ソン・フンミンは試合前日の23日、オンラインで行われた記者会見の場で、「イランが強いチームであるという事実は変わらない。我々がイランに対して準備をしているように、イランも同じように準備をしてきた。ディテールの部分で苦戦したと思う」と分析した。
韓国代表は10大会連続11回目となるW杯本大会出場という目標を達成したが、さらなる高みを目指している。ホームのファンの前で“イラン代表戦未勝利”のジンクスを破り、逆転でのグループ首位通過を狙っているのだ。
ソン・フンミンは「W杯進出という最終目標は達成したが、選手たちはまだ満足していない雰囲気だ。意志と愛情を持っている代表チームだからこそ、もっともっと頑張りたいという思いを抱いている」と語る。
現在、ソン・フンミンは最終予選の得点ランキングで4位につけている。ただ、本人が考えているのは自身の得点よりもチームの勝利だ。「どのチームで試合をするときも、個人の欲よりチームの目標を優先している。キャプテンの自分がそのような考え方(自分の得点を優先)をしてしまえば、チームは崩壊しかねない。ゴールは誰が決めても嬉しいものだ」と話した。
以下、ソン・フンミンとの一問一答。
◇
―この11年間、韓国代表はイラン代表に苦戦してきた。その理由は。
“苦戦した”という表現が正しい。イランが強いチームであるという事実は変わらない。我々がイランに対して準備をしているように、イランも同じように準備をしてきた。大きな部分の変化というより、細かな部分に変化を与えてきたが、それが原因だと思う。前回のアウェーゲームで望んでいたのは勝ち点3だが、勝つことができたほどの良いパフォーマンスで勝ち点1を獲得した。その試合で選手たちは自信を得たし、今度はホームで試合をするだけに、ファンだけでなく自分たちにも勝利をプレゼントしたい。
―本大会出場を確定して負担がある程度軽くなったようだ。現在の代表チームの雰囲気は。
最終予選の過程で苦しい時期もあった。W杯進出という最終目標は達成したが、選手たちはまだ満足していない雰囲気だ。意志と愛情を持っている代表チームだからこそ、もっともっと頑張りたいという思いを抱いている。本大会出場が確定しただけに、最終予選はすでに終わったと考えられているのかもしれないが、選手たちはそうではない。だからこそありがたい。残りの2連戦も最善を尽くすつもりだ。
―最終予選では得点ランキング4位(3ゴール)につけている。得点への欲はないのか。
どのチームで試合をするときも、個人の欲よりチームの目標を優先している。今回もそれは同じだ。選手全員が個人の欲を捨てたからこそ、チームが目標を確実に達成できたと思っている。キャプテンの自分がそのような考え方(自分の得点を優先)をしてしまえば、チームは崩壊しかねない。ゴールは誰が決めても嬉しいものだ。チームを手助けし、選手たちがどうすれば良い試合をお見せできるのか、ファンの皆さんが楽しさを感じられるようなパフォーマンスを披露しなければならない。
―久しぶりに韓国代表のチームメイトに会うことになったが。
本当に会いたかった。久しぶりに会って楽しさもあったが、遊びに来たわけではない。確実にすべきことがある。楽しさというよりは、韓国代表という光栄な場でどのように良い成果を上げられるかを何よりも考えている。
―満員の観客の前で国際Aマッチのホームゲームを戦う。
本当にワクワクしている。サッカーはファンがいなければまったく別物のスポーツになる。感情と情熱をファンと分かち合ったとき、よりカッコよくなるスポーツだ。選手たちも期待しているし、ファンも期待していると思う。スタジアムに行くことだけを考えながら韓国に来た。何よりも先に考えたのは、ファンの皆さんとともにできるということだ。本当に期待している。お越しいただく分だけ、我々も楽しさを提供しなければならないという責任感を持ってスタジアムに入らなければならない。しっかり休んでしっかり準備して、終わった後にともに笑いながら挨拶ができたらと思う。
―パフォーマンスや戦術など、パウロ・ベント監督体制が始動した当時と、W杯本大会出場が確定した今とでチームを比較するならば。
あらゆる面で発展した。それだけ長い時間を投資した。一つの集団になったと考えている。たった一口のご飯で満足できないように、監督が初めていらっしゃったときも我々は良い姿を見せていたが、まだ完成途中の過程だった。どんなプレーが好きなのか、監督が何を望んでいるかを徐々にわかっていき、今では心を一つにしている。
最初から満足できるようなことはないと思った。多くの失敗と試練を経験した後、しっかりと強くなれるのであれば、そうした部分に打ち勝たなければならない。そのようなことがあったからこそ、最終予選では良い姿を見せることができたし、W杯出場も可能だった。まだ完全体になったわけではない。W杯前までに完全体になることが目標だ。しっかりと準備をして、そうなれるようにする。
―週末までリーグ戦を戦い、すぐに移動をして試合を戦う選手が多いが、コンディション管理の秘訣はあるのか。
経験だ。何度もやっているうちに慣れてきたし、特にコンディション管理をする必要がない。運動をして眠くなったら寝ればいいし、食事の時間には美味しい料理を提供してくださるお母さんたちがいる。おかげで良いコンディションに回復することができた。各自が上手くやれば良いだけだ。環境は整っている。特別に何かするというより、基本的なことだけを守れば大きな支障はない。夜明けに眠れないこともあったが、眠くなったら少しずつ寝てみようと努力した。時差に適応するというよりは、その瞬間を過ぎていく状況に追い込んでいる。
―トッテナムの試合ではいつも幼いファンにユニホームをプレゼントしている。今回も幼いファンにあげようと思っているのか。
イングランドでは幼い子にユニホームをあげても問題にはならないが、韓国のことはよくわからない。幼い子どもたちに良い思い出と経験、幸せを届けたい。可能であれば毎回してみたい。幸せな姿を見ると僕ももっと幸せになる。それが僕の唯一できることだ。韓国でもできるのであればしてみたいが、もしできないのであれば失望しないでほしい。スタッフと相談して、可能であればぜひプレゼントしたい。
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