北京五輪に出場する韓国の女子スピードスケート選手キム・ボルム(29)が、前回の2018年平昌五輪で物議を醸した“イジメ走行”疑惑をめぐって起こした民事訴訟で勝訴した。
ソウル中央地裁民事合意36部(部長判事ファン・スンヒョン)は2月16日、キム・ボルムが元スピードスケート選手ノ・ソンヨン(32)を相手取って起こした2億ウォン(日本円=約2000万円)の損害賠償請求訴訟で、「被告は原告に300万ウォン(約30万円)を支払うように」と、原告の一部勝訴判決を言い渡した。
裁判部は判決理由について、「被告が2017年11月から12月にかけて、後輩である原告に暴言・悪口を吐いたことが認められる」と説明した。ただ、2017年11月以前の暴言は消滅時効が過ぎたため、賠償範囲から除外された。
裁判部は、ノ・ソンヨンのインタビューで被害を受けたというキム・ボルム側の主張に対して、インタビューの内容は一つの意見に過ぎないとし、「一部虚偽とみられる事実は、直接原告に言及したのではなく、連盟の問題点を提起したり、被告の立場で感じたことを多少誇張したりしたものだ」と主張を却下した。
キム・ボルムは平昌五輪当時、ノ・ソンヨンらとともに団体パシュートに出場。すると、準々決勝でキム・ボルムら他メンバーがノ・ソンヨンを置き去りにし、先に決勝ラインを通過したことで、“イジメ走行”の疑惑が浮上した。
ノ・ソンヨンは試合後に行われた代表チームの記者会見に姿を現さず、その後、とあるメディアとのインタビューでは「練習時からいじめがあった」と主張したこともあった。
このため、キム・ボルムに対し“イジメ走行”の疑惑がかけられ、青瓦台の国民請願掲示板には「キム・ボルムの選手資格をはく奪してほしい」という請願も寄せられた。
その後、キム・ボルムは女子マススタートで銀メダルを獲得する快挙を成し遂げたが、レース後には喜びを見せず、観客席に向かってひざまずいて謝罪した。このため、当時は一部から“土下座スケーター”と呼ばれたこともあった。
しかしその後、文化体育観光部は連盟に対する特別監査を通じ、「良い成績を出すために目標を上方修正した作戦が失敗した。選手たちは与えられた環境で最善を尽くした競技と判断される」と、団体パシュートでノ・ソンヨンに対するキム・ボルムのいじめはなかったとの判断を下していた。
ただ、キム・ボルムは平昌五輪後に外傷後ストレス障害(PTSD)で入院治療を受けるなど、“イジメ走行”の騒動によって心身ともにダメージを負った。
このため、キム・ボルムは昨年1月、平昌五輪当時にノ・ソンヨンを相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。
当時、キム・ボルムはノ・ソンヨンの虚偽の主張で非難を浴びて精神科治療を受けたこと、後援の中断で経済的被害を受けたこと、個人種目の出場準備のためショートトラック練習場で別途の練習を行っていた際、ノ・ソンヨンが練習中にひどい悪口を発したためにチームの雰囲気を損ねたことなどを主張していた。
そんなキム・ボルムは、現在行われている北京五輪にスピードスケート韓国代表の一員で参戦。来る19日に行われるスピードスケート女子マススタートへの出場を予定している。
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