10勝達成は失敗した。ただ、MVP受賞には大きな問題とならない見通しだ。米メジャーリーグ(MLB)に新たな歴史を築くなど、すでにこれまでにないほど強烈なシーズンを送っている。
レギュラーシーズン終了を目前にして、大谷翔平(27、ロサンゼルス・エンゼルス)の先発登板が幕を閉じた。
エンゼルスを率いるジョー・マドン監督は9月30日(日本時間)、テキサス・レンジャーズとのビジターゲームを前に、地元メディアとのインタビューで“投手・大谷”の2021シーズンが終了したことを明らかにした。
マドン監督は「大谷は過去2回の先発登板で良い結果を出している。これ以上の登板はない」と述べた。これにより、大谷は今季を先発登板23試合、130.1イニングを消化して9勝2敗、防御率3.18、156奪三振の記録で終えた。
大谷は今月4日、レンジャーズとのホームゲームで7回2失点の好投を披露し、シーズン9勝目を挙げ10勝目を目前とした。しかし、以降3度の先発登板で勝利を追加することはできなかった。
20日のオークランド・アスレチックス戦では8回2失点、27日のシアトル・マリナーズ戦では7回1失点と好投したにもかかわらず、打線の援護を受けられなかった。結局、マリナーズ戦が大谷の2021シーズン最後の登板機会となった。
多くの人々は、1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりとなる“二桁勝利&二桁本塁打”達成を大谷に期待した。今季はそれがかなわなかったとはいえ、大谷はすでに投手両面でルースに劣らないほどの活躍を見せた。
ベーブ・ルースは1918年、打者として95試合に出場して打率0.300のOPS(出塁率+長打率)0.966、11本塁打、61打点を記録。一方の大谷は、29日までに150試合に出場し、打率0.256、OPS 0.962、45本塁打、98打点を記録した。
登板試合数もベーブ・ルースより大谷の方が多い。ベーブ・ルースは投手として20試合に登板、166.1イニングを投げて13勝7敗、防御率2.22、40奪三振を記録した。
100年前の野球と現代の野球を同一線上で比較することは難しい。
当時は先発投手が9回まで責任を負うことが多かった。また、先発ローテーションの概念も薄かった。
何より、ボールの反発力が違った。当時はいわゆる“デッドボール時代”であり、打球が今のように強く伸びなかった。投高打低が極端だった時代だ。その後、ルースはボールの反発力が高まった“ライブボール時代”には、1シーズン40~50本塁打の活躍を見せていた。
もちろん、時代の違いから大谷の今季の活躍が過小評価される理由はない。地元メディアもためらうことなく、大谷をアメリカン・リーグMVPの1位に挙げている。
多くの人々が疑った“二刀流”を見事にやってのけ、MLBの顔に位置付けられた大谷。21世紀基準で誰よりも強烈なシーズンを送ったと言って良いだろう。
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