危機は意外と早く訪れる可能性がある。イラク代表戦で無気力だった韓国代表は、レバノン代表戦で一段階変わったパフォーマンスを披露できるのだろうか。
パウロ・ベント監督率いる韓国は、本日(9月7日)午後8時にホームの水原(スウォン)ワールドカップ競技場でキックオフする2022年カタールW杯アジア最終予選グループA第2戦でレバノンと対戦する。
ベント監督は試合前日の6日に行われた記者会見で、最終予選初勝利へ「より積極的に、より速く」と強調した。
異例にも中東5カ国と最終予選同組に入った韓国としては、序盤戦での勝ち点3獲得が非常に重要だ。中東勢との対戦では長距離遠征が避けられず、相手のホームアドバンテージも克服しなければならないだけに、勝ち点を取りこぼせば終盤で窮地に追い込まれる可能性がある。
今回、第1~2戦がいずれもホームで行われるだけに、韓国は全勝が目標だった。しかし、イラク戦ではシュート数15本対2本という圧倒的優位にかかわらず、決定的なチャンス創出に失敗し、勝ち点1を獲得するにとどまった。
レバノン戦では勝利はもちろんのこと、今後の確信を抱けるようなパフォーマンスを発揮しなければならない。
韓国とレバノンは6月まで行われた2次予選でも同組だった。ただ、ホーム&アウェーで2度対戦したなかで、韓国はレバノンの密集した守備に苦しめられた。
2019年11月のアウェーゲームでは拙戦の末に0-0で引き分け、今年6月にホームで行われた2度目の対戦では先制を許すも、相手のオウンゴールとFWソン・フンミン(29、トッテナム)のPKで逆転し、2-1で辛勝した。
レバノンは2次予選後に監督交代を断行。現役時代にサンフレッチェ広島やジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド市原・千葉)で活躍し、ヴィッセル神戸でも指揮を執ったイワン・ハシェック監督を招へいし、トルコでのキャンプを通じてチームの完成度を高めた。
そして、迎えた最終予選初戦ではアウェーで行われたUAE代表戦をスコアレスドローに持ち込み、勝ち点1獲得に成功。当時も緻密な守備が目立ったが、来る韓国戦でも執拗な守備で相手を苦しめる戦術を展開するものと見られる。
今回も相手の密集守備を攻略することができなければ、10大会連続W杯出場の道はさらに険しくなる。
ベント監督は相手の守備に対する打開策を問われ、「イラク戦とは違う試みをする。多くの人が考えるフォーメーション、数人の選手を変えるというよりは、異なるプレーをしなければならない。攻撃パートではより積極的に、より速くプレーしなければならない。また、序盤から落ち着いたプレーで試合に臨まなければならない」と強調した。
ソン・フンミンをはじめFWファン・ウィジョ(29、ボルドー)、MFイ・ジェソン(29、マインツ)、MFファン・インボム(24、ルビン・カザン)ら欧州組は、長距離移動による時差と疲労のためか、イラク戦では本来のパフォーマンスを発揮できなかった。
ただ、「数人は月曜日(8月30日)、そして数人は火曜日(8月31日)に到着し、その2日後にイラク戦を戦った。我々がすべきことは最大限回復できるよう手助けすることだ。今回は良いコンディションで試合を迎えられるだろう」とベント監督は期待する。
一角では、東京五輪でも活躍したMFイ・ドンギョン(23、蔚山現代)のような勢いのある国内組の選手を投入すべきではないかという声もある。
しかし、選手起用に保守的なベント監督は、依然として欧州組の主力メンバーを優先して先発に送り出している。それだけに、今回も同じような采配を敷いて結果を残せなければ、指揮官に批判が集中する可能性は大きい。
“監督の墓場”と呼ばれるW杯最終予選の序盤で、ベント監督がどのようなやり方で危機を乗り越え、勝利を収められるかを見守ってみたい。
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