「勝利への確信が持てるようになった」
元メジャーリーガーのチュ・シンス(39)擁する新球団SSGランダースが、韓国プロ野球開幕戦で快勝を収めた。
チュ・シンスは三振で凡退するシーンも見られたが、「長いシーズンだと思う。ヒットは打てなかったが、打席でボールをたくさん見たし、打撃の感触は悪くなかった。韓国の選手も簡単にはアウトにされず、粘り強く相手を攻略する姿を見せており、勝利を勝ち取ることができると確信した開幕戦」と自身とチームを評した。
チュ・シンスは4月4日、仁川(インチョン)SSGランダーズフィールドに故郷の球団ロッテ・ジャイアンツを迎え、韓国プロ野球のデビュー戦を行った。3番指名打者として先発した彼は4回打席に立ち、1回と8回に三振、3回にセンターフライ、5回に四球で出塁している。
チュ・シンスが4度の打席で見極めたボールは計21個で、1打席平均5個以上だった。韓国とアメリカのストライクゾーンの違いに慣れることに集中していた。
5回裏の二死後に四球で出塁したチュ・シンスは、果敢な走塁で1号目の盗塁も記録し、「3-2とギリギリのリードだったため、追加点が必要だと判断した。もし二塁でアウトになっても、6回裏の攻撃は強打者が先頭打者だったので、気軽に盗塁した」と説明した。試合の流れに応じて、チームにとっての最善手を盗塁で表現したのだ。
プロセスを重視するというチュ・シンスのフィロソフィーは、SSGランダースの選手たちにも浸透しているようだ。打者たちは結果的に三振に終わっても、相手投手に執拗に食い下がろうとする姿勢が印象的だった。
ロッテ・ジャイアンツ先発のダン・ストレイリーが6回まで、本塁打1本を含めた被安打7本で3失点する過程で、107球を投げていたこともSSGランダース打線の粘り強さを代弁している。
チュ・シンスは、「私も簡単には退かないように努力し、同僚もこうした姿を見せた。こういうことが1つずつ積もれば、チームにポジティブな影響を与えると思う。選手たちが結果よりも過程の大切さに気付き始めれば、ファンにより多くの勝利をプレゼントできるはずだ」と自信を示した。
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ファンの存在もチュ・シンスをときめかせたという。「メジャーリーグでも多くの試合を経験し、極限状況に追い込まれたこともあった。レギュラーシーズンの開幕戦なので特に緊張はしなかった」としながらも、「ボール1つひとつに選手や観衆が歓声を上げる姿を見て、メジャーリーグのポストシーズンを戦っているという印象を受けた。打席に立った時は集中していたが、応援歌や名前を連呼するファンの声を聞くと、“僕は韓国で野球をやっているんだ”という気がした。とても幸せだった」と、少年のような笑みを浮かべた。
メジャー時代に比べてシーズン開幕準備のルーティンを大部分省略したため、チュ・シンスにとってはまだ適応期だと言える。
ストライクゾーンも適応しなければならない課題の1つだ。彼は8回裏、内角低めのボールで見逃し三振をしたシーン。ボールと判断して一塁に歩こうとしたが、結果的にベンチへと引き返していた。
これについては、「メジャーリーグでは審判の傾向を知った状態で打席に入っていたが、韓国プロ野球では把握している段階だと思う。審判たちに(ストライクゾーンを通過するかどうかを)尋ねたりもするなど適応の過程と考え、合わせていかなければならないようだ」と話した。
チーム創設後の初公式戦を勝利で飾ったチュ・シンスは、「第一歩をしっかりと踏み出せたので、選手たちはより自信を持って試合に臨めると思える。急ぐよりも、一つひとつ適応してチームの勝利に役立てるよう努力したい」と話した。
仁川の地に、出向の汽笛と“チューチュー”トレインの警笛が同時に鳴り始めた。
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