昨シーズンのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制した蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)が、思いもよらぬピンチに悩まされている。
蔚山現代は、来る3月25日の“日韓戦”に臨む韓国代表に主力選手7人(チョ・ヒョヌ、ホン・チョル、キム・テファン、ウォン・ドゥジェ、イ・ドンギョン、イ・ドンジュン、キム・インソン)を派遣した。
このため、国際Aマッチ期間の休息期に正常通りトレーニングを行うことが事実上不可能となった。大量派遣だけでなく、最近の練習と試合でイ・チョンヨン、ユン・ビッカラムとさらに主力が負傷したことも響いている。
現時点の蔚山現代は、外国人選手を除きベストメンバーがいない状態だ。チームを率いるホン・ミョンボ監督としては頭を抱えるしかない。
元々、ホン監督はこの休息期間を利用してプランBの模索をするはずだった。
ホン監督は昨年12月末に蔚山現代の新指揮官に就任したが、新たにチームを作る時間があまりに足りなかった。直前までカタールでACLを戦っていた選手たちが、帰国後、国内で隔離期間を過ごしていたためだ。
3年6カ月ぶりに指揮官として現場復帰したホン監督としては、可能な限り早い時期に選手を招集し、チームを自分の色に染めることを望んでいた。
また、蔚山現代はアジア王者として2月初旬にカタールで行われたクラブW杯にも出場しなければならなかった。ホン監督は2月末のKリーグ1(1部)開幕を控え、コンディションから戦術に至るまで自身の構想を注入する余裕がなかった。
ホン監督は心身ともに疲弊している選手に配慮するしかなかった。結局、今年1月7日にクラブハウスで顔合わせと軽いランニングを行った後、選手たちに再び休暇を与えた。そして、同月13日から25日までの短い期間に冬季キャンプを行い、カタール行きの飛行機に乗った。
とはいえ、この間も完全体で練習できたわけではなかった。この期間はイ・チョンヨン、ホン・チョル、コ・ミョンジン、イ・ドンギョンらの主力が、負傷やリハビリによって戦列を離れていた。
ホン監督はやむを得ず、クラブW杯に合わせて“一夜漬け”と言っても過言ではないような戦術を組まなければならなかった。そして、クラブW杯を終えた後、再び短期間で戦術を整え、Kリーグ1の開幕を迎えた。
序盤はユン・ビッカラムが攻撃の中心となり、キム・インソン、イ・ドンギョンとスピードとテクニックを備えたサイドアタッカーの活躍で開幕3連勝を飾った。
しかし、最近では相手が意図的に蔚山現代のサイドを狙ってプレッシャーをかけてくることで苦戦を強いられている。第6節までの直近3試合は2分1敗と振るわない。
特に、3月21日にアウェーで行われた第6節の大邱(テグ)FCで蔚山現代は1-2と敗れ、シーズン初黒星を喫した。短い準備期間のために具体的なプランBを用意できなかったホン監督は、相手に応じて戦術の幅を広げることができなかった。
このため、今回の休息期間はホン監督にとって非常に重要だった。しかし、主力の過半数がいない状況ではこれといった解決策も見出しにくい状況だ。ひとまず、ルーカス・ヒンテルゼーアやヴァレリ・カザイシュヴィリら新外国人選手のコンディションを引き上げられる時間を稼げたのが救いとするしかない。
ホン監督は外国人選手のほか、キム・ジヒョンやキム・ミンジュン、コ・ミョンジン、シン・ヒョンミンらチームに残った選手を中心に新たな策を描くものとみられる。
代表組は日韓戦を終えた後、26日に帰国し、4月2日まで坡州(パジュ)のサッカー国家代表トレーニングセンター(NFC)でコホート隔離(集団隔離)を行う。
蔚山現代は翌日の3日に第7節の城南(ソンナム)FC戦を控えているが、代表組が正常通りのコンディションでプレーするのは難しいはずだ。そのため、残された選手たちの責任感がさらに重要となっている。
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