約1年ぶりのAマッチを終えた韓国代表、次はオーストリア“脱出大作戦”だ

メキシコ、カタールとの2試合を終えた韓国代表だが、次に待っているのは007のジェームズ・ボンドさながらの“脱出大作戦”だ。

【関連】元札幌ク・ソンユン、代表で正守護神となれるか

オーストリアで約1年ぶりの国際Aマッチを行った韓国代表だが、新型コロナの影響でメンバーリストは焦土と化していた。また、韓国サッカー協会(KFA)は11月17日(日本時間)のカタール戦終了後、選手やコーチ陣を韓国や所属クラブの国へと移送することに苦労している。

約1年ぶりだった代表戦

新型コロナの影響で、今年行われる予定だった2022年カタールW杯予選などがすべて来年へと先送りになったため、韓国代表は今年1度も代表戦を行えていなかった。

そして今回、複数の大陸や国が10月から新型コロナの規制が少ないヨーロッパに移動し、中立地域での国際Aマッチを推し進めていた。隣国の日本も10月にオランダでカメルーン、コートジボワールと対戦するなど、代表戦復帰に向けて動き出していた。

KFAもその流れに乗り、代表強化はもちろんのこと、今年の代表戦が行えなかったことで発生した約200億ウォン(約20億円)近い損失を埋めるために、今回のヨーロッパ遠征を画策した。

KFAは熟慮の末、ヨーロッパの清浄地域であるオーストリアでの代表戦を決定した。対戦相手には2年前のロシアW杯で戦ったメキシコ、2019年1月のアジアカップ準々決勝で激突したカタールといった因縁浅からぬ強豪国をピックアップできた。

(写真提供=KFA)マスクを着用しているパウロ・ベント監督

しかし、11月に入りヨーロッパでは新型コロナが再流行の兆しを見せ、オーストリアも感染者数が数千人に達した。韓国代表もメキシコ戦を控えた11月13日にPCR検査を施行した結果、4人の感染者(チョ・ヒョヌ、クォン・チャンフン、ファン・インボム、イ・ドンジュン)が発生し、その後の再検査でもさらに2人(ナ・サンホ、キム・ムンファン)が陽性判定を受けたため、計6人が起用不可となった。

ただし、対戦相手国と開催国のサッカー協会の同意があり、FIFA・UEFAの規定(新型コロナ陰性者が13人以上の場合は試合の開催が可能)をクリアしていれば試合は可能なため、予定通り2試合を行うこととなった。

試合終了後も気が抜けない状態

結果は1勝1敗と悪くなかったが、試合が終わったからといって一息つくにはまだ早い。開催地となったオーストリアのウィーンから脱出するという大きなミッションがまだ残っている。

新型コロナ感染者となった選手とスタッフの2人は現地の規定に基づき、まず10日間の隔離を行わなければならない。その間にオーストリア当局が施行するPCR検査を2回受診し、両方で陰性だった場合やっと隔離が解けることとなる。

陽性反応が続いた場合、その分隔離期間は延長される。 KFAスタッフは現地に残り、感染した選手やスタッフが安全に帰国できるよう、引き続き支援する予定だ。

KFAはオーストリア政府と大使館に働きかけ、最短で出国できるよう尽力している。また、陽性判定を受けた選手とスタッフの韓国への入国手続きに関しても、韓国政府と関係機関との協議を進めている。

韓国中央防疫対策本部クォン・ジュンウク第2副本部長は、11月17日の定例会見で「サッカー代表チームの感染者に対しては文化体育観光部が主導となり、空輸による移送の準備をしている」とし、「オーストリアから仁川国際空港に到着次第すぐに隔離病床を割り当て、用意した救急車などで速やかに医療機関へと搬送する予定だ」と説明した。

(写真提供=KFA)サッカー韓国代表

選手たちの所属クラブへの復帰と、韓国への帰国の日程は、各国の新型コロナに対する規定が異なるため、各々の確認が必要となる。

メキシコ戦前に陽性判定を受けていたクォン・チャンフンは、所属クラブ(フライブルク、ドイツ)の要請で、オーストリア政府と保健当局と協議した結果、防疫車を利用して11月15日にドイツへと移動した。しかし彼はドイツ入国後の再検査でも陽性反応を示し、現在は自宅で隔離されているとのことだ。

KリーグのACL勢にも影響か

このほかにもソン・ジュンホとイ・ジュヨン(全北現代モータース)、チュ・セジョンとユン・ジョンギュ(FCソウル)など、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に参加する代表選手たちもいる。オーストリアからACL開催国であるカタールへと直行する彼らも潜伏期間の疑いがあるため、すぐに所属クラブへの合流はできない。

クラブ関係者は「KFAはもちろん、アジアサッカー連盟、プロサッカー連盟の担当者と協議を重ね、防疫車での移動や、現地での再検査などを進めている」と強調した。

約1年ぶりの代表戦で選手も国民も盛り上がったのは束の間、コロナ対応という試合が霞むほどの慌ただしい事態となっている。

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

RANKINGアクセスランキング

PHOTO写真

TOPIC「BTS」特集