不正行為による1年半の出場停止処分を経て韓国女子ツアー“個人三冠”を達成し、現在は米国女子ツアーに挑戦中のユン・イナが、久しぶりに国内の舞台に帰って来る。
【写真】韓国女子ゴルファー、スイムウェア姿の寝そべりSHOT
8月7日から10日にかけて、済州島(チェジュド)のサイプレスCCでは韓国女子ツアーの「済州三多水(サムダス)マスターズ」が開催される。
賞金総額10億ウォン(日本円=約1億678万円)、優勝賞金1億8000万ウォン(約1921万円)がかかった同大会にはアマチュア含め総勢132人の選手が出場する。なかには直近までウェールズで開催され、日本の山下美夢有(24)が優勝した米国女子ツアーのメジャー大会「AIG女子オープン(全英女子)」を戦った韓国人選手も多い。
その中で最注目はユン・イナ(22)だ。かつては大会中の“誤球プレー”で出場停止処分を下されるも、2024年の韓国女子ツアーで大賞(年間MVP)含む個人三冠を達成した彼女は、同年冬のQシリーズ(最終予選会)を通過して今季より米国女子ツアーの舞台に挑戦している。
もっとも、「AIG女子オープン」は2日間で通算8オーバーの「149」とし、93位タイで予選通過に失敗。今季は米国女子ツアー16大会に出場し10大会で予選を通過しているが、一度もトップ10に入ったことがない。最高成績は5月末に行われた「全米女子オープン」の14位だ。
ルーキーイヤーであることを考慮してもやや物足りない成績だが、新人王ポイントでは7位(267ポイント)、ドライバー平均飛距離15位(275.14ヤード)、ホール当たりの平均パット数8位(1.76個)と飛躍の可能性は秘めている。そのため、今回の“一時的な韓国復帰”が米国女子ツアーでの復調の兆しとなるかに関心が集まっている。
ユン・イナと同じく「AIG女子オープン」予選敗退を経験したパン・シンシル(20)やイ・ドンウン(20)も、今大会で優勝を狙う。「AIG女子オープン」が開催されたロイヤル・ポースコール・ゴルフ・クラブはリンクスコース特有の強風が選手たちを悩ませたが、韓国女子ツアー屈指の飛距離を誇る2人も風の影響でコースマネジメントに苦労したという。
とはいえ、気負いなく挑んだ海外大会だからこそ、風やコース特性への新たな対応力を得た可能性も高い。今回の「済州三多水マスターズ」も海風の強い済州島が舞台で、開催コースのサイプレスCCも戦略が要求される難コースなだけに、ウェールズとは異なる“風”への対応が試される。
◇ユン・イナ プロフィール
2003年5月2日生まれ。韓国・ソウル出身。小学5年生から本格的にゴルフを開始。アマチュア時代は国家代表に選ばれ、「韓国女子アマチュアゴルフ選手権」では大会史上4人目の“中学生王者”。2021年にプロ転向。2022年6月の「DBグループ・第36回韓国女子オープン・ゴルフ選手権大会」で“誤球プレー”を犯すルール違反をし、韓国ゴルフ協会、韓国女子プロゴルフ協会から3年間の出場停止処分が下された。ただ、出場停止期間の社会奉仕活動やファンによる3500件近い嘆願で処分期間が「1年6カ月」に減免し、2024年シーズンより韓国女子ツアー復帰。同年は大賞(年間MVP)、賞金女王、平均ストローク賞の個人三冠を達成した。2024年12月に行われたQシリーズ(最終予選会)を8位で通過し、2025年シーズンは米国女子ツアーに挑戦中。
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