トッテナムでチームメイトの韓国代表FWソン・フンミン(32)に向かって人種差別発言をしたウルグアイ代表MFロドリゴ・ベンタンクール(27)に重懲戒が下された。
イングランドサッカー協会(FA)は11月18日、ベンタンクールに国内戦7試合出場停止及び10万ポンド(日本円=約1953万円)の罰金懲戒を科したと発表した。
このため、ベンタンクールは来る24日に行われるプレミアリーグ第12節マンチェスター・シティ戦から出場不可となる。UEFAヨーロッパリーグには出場できるが、イングランド国内で行われる大会には出場できない。
つまり、この先プレミアリーグのマンチェスター・シティ戦、フラム戦、ボーンマス戦、チェルシー戦、サウサンプトン戦、リバプール戦、そしてカラバオカップ準々決勝のマンチェスター・ユナイテッド戦で処分が適用されることになる。
ベンタンクールは今年6月、母国ウルグアイのテレビ番組『Por la Camiseta』に出演した際、MCからソン・フンミンのユニホームが欲しいとせがまれて「ソニー(ソン・フンミン)の従弟のユニフォームを持ってきてもわからない。みんな同じように見えるから」と発言し、物議を醸した。
ベンタンクールの発言は明白な人種差別だ。“東洋人は皆似ている”という認識を与えるだけに、問題になるのは明らかだった。
過去の事例もある。練習試合中、韓国代表FWファン・ヒチャン(28、ウォルヴァーハンプトン)に人種差別発言をしたイタリア人DFマルコ・クルト(25、チェゼーナ)は国際サッカー連盟(FIFA)から10試合の出場停止処分を受けた。ベンタンクールはクルトと同様に、絶対にしてはならないことをしたわけだ。
何より、人種差別の相手はソン・フンミンだ。ソン・フンミンは韓国やアジアを越えて、イングランド、欧州全体で高い認知度を誇るスーパースターだ。加えて、ベンタンクールはソン・フンミンのチームメイトでもある。
ソン・フンミンはトッテナムを代表する選手としてキャプテンを務めている。人種差別そのものが問題なのは確かだが、被害者がソン・フンミンなだけに、今回の事件はイングランド国内でも大きな話題とならざるを得なかった。
事が大きくなると、ベンタンクールは自身の人種差別発言を謝罪。「私の言葉によって不快感を感じたのであれば、心から謝罪する。間接的であれ、直接的であれ、誰も不快にさせるつもりはなかった」と伝えた。
ただ、遅れた謝罪も虚しく処分は下され、結果的にトッテナムも大きなダメージを被ることになった。
ベンタンクールは今季プレミアリーグ7試合に先発出場したトッテナムの中心的選手だ。しかし、不必要な行動によって処分を受け、重要な時期にチームのマイナスとなった。
ただでさえトッテナムがシーズン序盤から不振で苦しんでいるなか、ベンタンクールの“無知な人種差別”がクラブの行く手をさらに阻むことになった。
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