韓国代表MFイ・ガンイン(23)は、パリ・サンジェルマン(PSG)で相変わらず“ローテーション要員”のようだ。
イ・ガンインは9月19日(日本時間)、フランス・パリのパルク・デ・プランスで行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第1戦ジローナ戦で先発出場の機会を得られなかった。
先発を外れ、ベンチで試合を見守っていたイ・ガンインは後半18分にポルトガル代表MFヴィティーニャ(24)との交代で出場し、約30分間プレーした。
イ・ガンインは現在、PSGでシーズン序盤のパフォーマンス、コンディションが最も良い選手だ。
リーグ・アンでは開幕から2戦連続でゴールを決め、CL前の第4節ブレスト戦ではMVP級の活躍を繰り広げた。対戦相手の監督がイ・ガンインを褒め称えるほど、“鶏群一鶴”の活躍を披露したわけだ。中盤の一角で出場したイ・ガンインは試合を支配し、チームを勝利を導いた。
ただ、チームで最も目立った選手にもかかわらず、ルイス・エンリケ監督はイ・ガンインを選ばなかった。
ジローナ戦は前線にフランス代表FWウスマヌ・デンベレ(27)、スペイン代表FWマルコ・アセンシオ(28)、フランス代表FWブラッドリー・バルコラ(22)を並べ、中盤はヴィティーニャ、スペイン代表MFファビアン・ルイス(28)、フランス代表MFウォーレン・ザイール=エメリ(18)の3人で構成した。
だが、エンリケ監督の決定は“徹底した失敗”に終わった。
指揮官が送り出した先発11人のパフォーマンスは期待以下だった。前半は枠内シュートを1本も打てないほどに無気力で、中盤の選手はリスクの低いパスだけを駆使した。
前線ではバルコラがほとんどの時間で姿を消した。デンベレもチャンスを何度も逃し、相手GKとの1対1でシュートを打てない場面もあった。一人で8本もシュートを打ったにもかかわらず、無得点に終わった。
試合によって調子の起伏が激しい“サイコロ”のような選手のデンベレ。彼がジローナ戦で出した数字は「1」だった。
それでも、エンリケ監督はデンベレをほぼフル出場させた。PSGは試合終盤、相手GKの致命的なオウンゴールで得点し、1-0と辛うじて勝利したものの、満足できる内容や結果ではなかった。
そんななか、イ・ガンインは途中出場から積極的にピッチを駆け回り、存在感を発揮した。
コーナーキックでは鋭いクロスでフランス代表FWランダル・コロ・ムアニ(25)の決定機を演出し、再度からも果敢なドリブル突破からクロスを上げてジローナ守備陣を揺さぶった。イ・ガンインの安定したボールキープと連携がチームに生気を吹き込んだわけだ。
もっとも、エンリケ監督がCLでイ・ガンインに背を向けたのは昨日や今日の話ではない。
昨シーズン、イ・ガンインはCLでわずか3試合の先発出場にとどまった。決勝トーナメント以降はプレータイムすらも徐々に減っていった。イ・ガンインをPSGで主力として見ることが難しい理由だった。
シーズンが変わり、イ・ガンインのチーム内における存在感が変わったが、エンリケ監督の“偏見”はなかなか消えないようだ。フランス出身のデンベレ、バルコラ、そして有望株のザイール=エメリに対する盲目的な信頼も変化がない。
試合前の記者会見でエンリケ監督は「シーズンは長い。そのため、重要なのが選手の多芸多才な資質だ」とし、複数のポジションをこなす選手の役割を強調した。
PSGで最も多芸多才な選手はイ・ガンインだ。両ウィングに中盤までこなすイ・ガンインこそ、指揮官が言う“チームに必要な選手”であることは間違いない。
にもかかわらず、エンリケ監督は自身の発言と異なる選択をした。その采配が納得できれば問題はないが、今季のチームで最も輝いているイ・ガンインの立場では“不快”にも感じかねない状況だ。
◇イ・ガンイン プロフィール
2001年2月19日生まれ。韓国・仁川広域市出身。身長174cm。サッカー韓国代表。幼少期に出演したKBSサッカーバラエティ番組『飛べ、シュットリ』で類まれなる才能を発揮し、“神童”として一躍注目を集めた。2011年にスペインに渡りバレンシア下部組織に入団し、2018年10月にトップチームで公式戦デビュー。2021年夏にフリーでマジョルカに加入、2023年夏にフランスのパリ・サンジェルマンに完全移籍。マジョルカ時代の同僚である日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダ)とは同じ2001年生まれで、普段から仲が良いことで知られている。
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