ここまで来ると、もはや“人種差別”を疑うレベルだ。
新シーズンのリーグ・アンで初ゴールを決めた韓国代表MFイ・ガンイン(23、パリ・サンジェルマン)を、フランス人コメンテーターのピエール・メネス氏が再び酷評した。
フランスメディア『PlanetePSG』などによると、メネス氏は最近、「私は最初からイ・ガンインについて疑問に思っていた。マジョルカではドリブルする場面を見たが、PSGではドリブルをする姿を見られなかった。しきりに後ろに行く。イ・ガンインにPSGは“やや大きめの服”のようだ」と話した。
彼は昨年にも、個人YouTubeチャンネルを通じて「イ・ガンインは個性がない」と根拠のない批判をした。フランスの主要メディアも、イ・ガンインに対しては特に酷評し、メネス氏の発言を掲載していた。
ただでさえ、韓国国内では最近行われたパリ五輪で浮き彫りになった組織委員会の人種差別的行為によって、フランスに対する民心が良くない。
パリ五輪の開会式で、韓国は「北朝鮮」と紹介された。
当時、場内アナウンスは韓国をフランス語で「Republique populaire democratique de Coree」、英語で「Democratic People's Republic of Korea」と紹介した。いずれも「北朝鮮」を指す名称だった。
ほかにも、男子バスケの試合では、南スーダンの国歌演奏で「スーダン国歌」が流れる致命的なミスが発生。競泳ではアルゼンチン選手の紹介時に中国国旗が表示されるハプニングもあった。
これらを“単純なミス”と片付けることができないほど、非欧州国家、選手に対する人種差別の視線が強かった。
イ・ガンインは昨シーズンからPSGに加入し、無難な活躍を見せたにもかかわらず、現地メディアの間では厳しい評価を下された。
ただ、去る8月17日に行われたリーグ・アン開幕戦のル・アーヴル戦では、明らかに依然と異なる雰囲気だった。イ・ガンインは同日、前半2分4秒で幻想的な左足のコントロールシュートで先制ゴールを決め、チームを4-1の大勝に導いた。
フランスメディア『レキップ』は、イ・ガンインにポルトガル代表MFヴィティーニャ(23)やエクアドル代表DFウィリアム・パチョ(22)と同じ最高評価点の7点を付与し、「ボールコントロールで創意性を誇った」と評価した。
『ル・パリジャン』もイ・ガンインの活躍を絶賛するなど、これまで彼に低調な評価を下してきた主要メディアが、以前と異なるニュアンスを漂わせた。
しかし、前出のメネス氏の発言は、依然としてイ・ガンインに対する“粗探し”が存在することを感じさせる。何より、「ファクト」と見ることも難しい。
『SofaScore』などの資料によると、イ・ガンインは昨季1試合平均のドリブル突破、キーパスが1回以上だった。
そもそも、マジョルカ時代と比較すること自体、無理がある。
マジョルカ時代のイ・ガンインは“孤軍奮闘”だった。徹底的にイ・ガンインの個人戦術に合わせたシステムが主だった。
ただ、PSGは違う。世界最高レベルの選手が集まるだけに、多彩な戦術を駆使する。そのなかで、イ・ガンインも徐々にチームに溶け込み、自身の価値を発揮している。
メネスは3年前、職場の同僚にセクハラをした疑いで警察に逮捕されたことがある。テレビ業界から事実上“追放”され、現在は個人YouTubeチャンネルで主に活動している。
“再生数”が核となるユーチューブでは人々の注目を集める刺激的な素材が必要だが、イ・ガンインを餌にしているのではないかと疑いたくなる。また、彼のコメントを写し書きするだけの現地メディアに対する見方も、韓国国内では良くない。
◇イ・ガンイン プロフィール
2001年2月19日生まれ。韓国・仁川広域市出身。身長174cm。大韓民国のサッカー選手で、サッカー大韓民国代表。幼少期に出演したKBSサッカーバラエティ番組『飛べ、シュットリ』で類まれなる才能を発揮し、“神童”として一躍注目を集めた。2011年にスペインに渡りバレンシア下部組織に入団し、2018年10月にトップチームで公式戦デビュー。2021年夏にフリーでマジョルカに加入、2023年夏にフランスのパリ・サンジェルマンに完全移籍。マジョルカ時代の同僚である日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダ)とは同じ2001年生まれで、普段から仲が良いことで知られている。
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