韓国プロ野球で始球式を務めた女性議員が“無礼コメント”をしたとして、野球ファンのひんしゅくを買っている。
6月9日、ソウルの蚕室(チャムシル)野球場で行われたKIAタイガース対斗山(トゥサン)ベアーズの試合では、保守系与党「国民の力」のペ・ヒョンジン議員が始球式を務めた。
ペ議員は試合後、自身のインスタグラムで始球式の写真を数枚公開。それとともに、キャプションに次のように綴った。
「14年ぶりの斗山での始球式。フォーシームファストボールに挑戦しましたが、以前ほどは難しいですね」
「昨年のアジア大会で善戦した我が蚕室の名門・培明(ぺミョン)高校のトップスター、クァク・ビン選手にも会えて光栄な一日でした」
「KIAファンが観客席の3分の2ほどを埋め尽くしたようですが、ビジターゲームを楽しんでいただけたことを願っています」
「蚕室ホームチームの斗山とLG、LGと斗山。韓国シリーズに向けてgogo!応援します。ファイティン」
この投稿が、ネットユーザーの怒りを買った。
というのも、クァク・ビン(25)をめぐるアジア大会時の兵役特例疑惑を再燃させたのはもちろん、KIAの本拠地である光州(クァンジュ)を遠回しに皮肉るようなニュアンスのコメントを伝えたからだ。
クァク・ビンは昨年、杭州で開催されたアジア大会で野球韓国代表のメンバーに選出されるも、大会直前に負傷した影響で1試合も登板できなかった。それでも、チームが金メダルを獲得したことで自身も兵役特例の恩恵を受けたため、議論を巻き起こしていた。
この騒動について、クァク・ビン本人は大会直後にSNSで「本当に申し訳なく、感謝しています」と、チームメイトへの謝罪と感謝の気持ちを伝えた。そんな彼に、代表のチームメイトや韓国プロ野球の先輩たちは慰労のコメントなどを届けていた。
にもかかわらず、ペ議員は「アジア大会でクァク・ビンが善戦した」と伝えた。
これにとあるネットユーザーが「クァク・ビンはアジア大会で登板しなかったじゃないか。どこかで幻覚を見たのか」とコメントすると、ペ議員は「我がクァク・ビン選手は国家代表に選ばれましたが、ソウルの誇りではないですか?」と返信した。
このやり取りを見て、別のネットユーザーは「アジア大会でクァク・ビンをご覧になったというのを見ると、明らかに政治家は庶民と見る目が違うな」と皮肉の反応を見せていた。
また始球式当時、グラウンドに登場したペ議員に向かって、観客席からは大きなブーイングが飛んだ。
これを受けてからか、ペ議員は「KIAファンが観客席の3分の2ほどを埋め尽くしたようですが」と伝えたことで、自身にブーイングを送った人がKIAファンであるかのように表現した。
KIAの本拠地である光州は、ペ議員が所属する「国民の力」の支持率が低い地域だ。その点で、ペ議員の表現は“地域嫌悪”を招きかねないという指摘を受けている。
実際、同日の試合を観戦したとある斗山ファンは、「斗山の応援席である一塁側内野でもブーイングは本当に大きかった。(ペ議員が)聞こえないふりをしたのだろう。しかも、“蚕室をKIAファンが埋め尽くす”という言葉は斗山とLGのファン両方が好まない。なぜこんなことを言ったのかわからない」と口をそろえた。
ペ議員は1983年11月生まれの40歳。政治家転身前、MBCのアナウンサーを務めた2010年には斗山の勝利祈願始球式を行ったことがある。
それから14年ぶりに再び斗山の始球式を務めることになったが、あえて言わなくてもいい言葉をSNS上で掲載したことで、「選手、招待した球団(斗山)、ビジター球団(KIA)すべてに対し礼儀がない」と批判を浴びる形となった。
なお、ペ議員が始球式を務めた同日の試合は、ビジターチームのKIAが8-2と勝利を収めた。
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