“罪の捏造疑惑”が浮上した韓国の有名弁護士…それでも処罰されない「盲点」とは

2020年02月07日 社会

“罪の捏造疑惑”を受けている韓国の有名弁護士カン・ヨンソクの影響が、韓国弁護士協会の弁護士法改正の要求にまで広がっている。

「カン・ヨンソクが打ち上げたボール」が、どこまで飛んでいくのか成り行きが注目される。

先立って2月4日、韓国メディア『ディスパッチ』は、2015年にカン・ヨンソクが「トドマム」と呼ばれる有名ブロガーのキム・ミナと共謀して証券会社役員の暴行事件を“強姦致傷事件”にでっち上げ、和解金をさらに多く受け取ろうとしたと主張し、2人のやり取りが記録されたテキストメッセージを公開した。

【注目】「嘘でもいい、和解金が上がる」韓国の有名弁護士が捏造?

捏造疑惑が浮上すると、多くのネットユーザーは「こんな人間が現職の弁護士だなんて」「弁護士協会は、罷免を考えないのか?」といった反応を見せた。

弁護士法第24条は「①弁護士は、その品位を損傷する行為をしてはならない。②弁護士は、その職務を遂行する際に、真実を隠蔽したり、虚偽の陳述をしたりしてはならない」と規定している。

法律に詳しくない一般人から見ても、法を悪用する人間が弁護士を務めているということに危険性を感じる。実際に韓国弁護士協会も、この問題を深刻に受け止めている。

カン・ヨンソク弁護士

「弁護士法には盲点がある」

韓国弁護士協会の関係者は2月7日、本紙『スポーツソウル』とのインタビューで「関連する内容を認知はしている。しかし現在までカン・ヨンソク弁護士に関連して提出された内容はない。このような場合、協会は懲戒する権限がない」と述べた。

すなわち今回の問題は、罪を捏造されたとされる証券会社役員がカン・ヨンソク弁護士を弁護士法違反で告訴したり、検察庁などの法曹倫理協議会に懲戒を申請したりしなければ、懲戒手続きが開始されないわけだ。

とはいえ今回の捏造疑惑が広く知られながら、韓国弁護士協会の会員登録者3万人(2020年現在)の名誉が失墜しただけに、協会は積極的に問題を解決する方法を模索している。

前出の関係者は、「現在の弁護士法には盲点があるが、国会はその部分をよく知らないようだ。協会の懲戒委員会が弁護士の職務を遂行することが著しく不適当であると認めたときも、直接的に懲戒に付託することができる規定がないため、弁護士法を改正しようと努力してきた」と話す。

そして「新しい国会が開かれたら、この部分の法改正をもう一度試してみる」と明らかにした。

弁護士で永久除名になった事例は極めて稀

弁護士に対する懲戒レベルが低すぎることも問題だ。

弁護士法91条が規定した永久除名は、①弁護士の職務に関連して2回以上、禁錮以上の刑を宣告され(執行猶予を宣告された場合も含む)、その刑が確定した場合(過失犯の場合は除外) ②この法律に基づいて2回以上、停職以上の懲戒処分を受けた後、再び第2項の規定に従う懲戒事由がある者で、弁護士の職務を実行することが著しく不適当であると認められる場合にのみ該当する。

実際に永久除名に至った事例は、極めて稀だ。ほとんどが停職や過料にとどまる。

法をよく知る弁護士であるからこそ、それを悪用したのであれば、さらに強い処罰を受けるべきという一般的な思いとは、かけ離れた部分といえるかもしれない。

なおカン・ヨンソクは2018年10月、キム・ミナの元夫にかかわる私文書偽造の容疑で懲役1年の実刑判決を受けたが、2019年4月の控訴審で無罪を宣告されて出所。現職の弁護士として活動しており、YouTubeチャンネル『カロセロ研究所』で芸能人のさまざまな暴露を続けている。

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