約300人の死傷者を出したソウル梨泰院での雑踏事故、警察の対応の遅れは“大統領室移転”の影響か

2022年11月08日 社会

韓国紙『ハンギョレ』は11月7日、「共に民主党」のキム・フェジェ議員室がソウル警察庁から受け取った「龍山警察署の超過勤務現況」という資料を引用し、大統領室が龍山国防部庁舎に移転した直後の今年第2四半期と第3四半期の龍山署交通課の超過勤務時間が、昨年同時期よりも1万48時間(2万6998時間→3万7046時間)増えたと報じた。

龍山署交通課は大統領の移動時に交通統制、信号開放などの交通管理と、大統領室近隣の人員統制を行う。大統領室移転直前(2022年2月時点)には龍山署交通課70人ほどだったものが、移転後(2022年10月時点)には89人が勤務していたという。この数字を考慮すると、交通課の警察1人当り30時間(386時間→416時間)ほど超過勤務をしていた計算となる。

そして交通課だけでなく、龍山署全体の超過勤務時間も昨年同時期より大幅に増えた。第2四半期に1万5513時間ほど増え、第3四半期には9446時間ほど増えたことが分かっている。例として、館内集会・デモ申告および管理と情報活動をする公共安寧情報外事課の場合、第2、第3四半期を合わせて超過勤務時間が前年比5582時間増えている。

(写真提供=国会写真記者団)ユン・ソギョル大統領

キム・フェジェ議員はこれに対して、「龍山への大統領室移転による大統領の警護に警察の人材が集中し、国民の生命と安全は後回しになってしまったのではないか」と指摘した。

ほかにも同日、「共に民主党」のイ・ヘシク議員は、龍山警察署所属の情報担当の警察官は事故当日、光化門(カンファムン)と龍山で徒歩で行われた「キム・ゴンヒ特権、ユン・ソギョル退陣のためのろうそく大行進」に全て投入されたため対応が遅れたという資料を公開した。

イ・ヘシク議員が龍山警察署から提出された答弁によると、龍山署は事故当日の10月29日、所属する情報警察(23人)全員を大統領室近くの集会現場に投入したことが確認された。

イ・ヘシク議員は「大勢が雲集する現場で情報警察が随時作成する“情報状況報告”は、112(警察機関への緊急用通報番号)通報とともに、警察が事故危険などを感知する主要根拠」とし、「しかし惨事当日、ただ大統領室付近の集会現場だけで情報収集がなされ、梨泰院の現場に対する警察の対応がはるかに遅れた」と話している。

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