韓国で日本製品の不買運動が長期化し、日本に関連するいくつかのブランドが店舗撤収などの危機的局面を迎えている。
そんななか靴の小売りチェーンを展開する「ABCマート」は、むしろ積極的な出店を続けている。
ABCマートに対抗して、韓国の靴セレクトショップであるイーランドグループの「フォルダ(FOLDER)」は、大胆な投資を決定し、果敢な再整備に突入した。
業界によると、ABCマートは不買運動の打撃を避けたという評価を受けている。
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金融監督院が国会政務委員会イ・テギュ正しい未来党議員室に提出した資料によると、不買運動が開始されてから、ユニクロの売上高は70.1%、無印良品の売上高は59%も減少したが、ABCマートの売上高の減少幅は19%にとどまった。
ナイキ、アディダス、リーボック、フィラなどのブランドを1カ所で販売している韓国の靴セレクトショップ市場は、これまでもABCマートの独壇場であった。2002年に韓国の営業を開始したABCマートは、2018年に売上高5000億ウォン(約500億円)を超え、韓国市場を完全に掌握した。
ABCマートは不買運動が拡大するなかでも、新店舗の出店に積極的だ。
ABCマートは8月と9月に10店舗を新たにオープンする。リニューアルした4店舗を含めれば、2カ月間に計14店舗も新たな売り場を開く。8月に新たに7店舗、リニューアルで3店舗をオープンし、9月にも新店舗3、リニューアル1を出店する計画だ。
不買運動が始まった7月にも、1店舗を新規オープンした。現在ABCマートの店舗数は韓国で256に上る。新規オープン予定の店舗数まで合わせれば、270店舗に達することになる。
流通業界によると、韓国の靴セレクトショップはABCマートを代替する店がないため、不買運動の波及力に比べて、ABCマートの売上高が堅調だという。
ABCマートの攻撃的な姿勢に、韓国ブランドのフォルダが投資を拡大し、本格的な対応に乗り出した。フォルダはイーランドグループが展開する靴のセレクトショップで、ABCマートとの“2強構図”を作るという戦略を立てた。
フォルダを運営するイーランドグループは9月中旬、ソウル新村(シンチョン)に「フォルダ・ハイライト」最初の店舗をオープンする。既存の新村にあったフォルダ1号店がフォルダ・ハイライト1号店として生まれ変わる。
イーランドは新村をはじめ、来年初めまでソウルの弘大(ホンデ)や明洞(ミョンドン)、大邱(テグ)の東城路(トンソンロ)などにも、ハイライトの店舗を開く予定だ。
既存のフォルダと異なるフォルダ・ハイライトは、靴はもちろん、衣類やアクセサリーなどの雑貨まで販売する計画だ。
イーランドグループの関係者は、「2021年までにフォルダ・ハイライトとして20店舗をオープンする計画」とし、「既存のフォルダが家族の顧客をターゲットに運営していたとすれば、フォルダ・ハイライトはトレンドにさらに敏感で、プレミアムファッション製品を求める顧客を中心に事業が展開される予定」と明らかにした。
フォルダは、ナイキやアディダスなどのスポーツメガブランドに集中して、画一化された商品を構成する戦略から脱し、フォルダ・ハイライトの店舗を通じて、国内外のブランド、デザイナー、アーティストとコラボレーションする特有の商品も発売する方針だ。
イーランドグループは、今年50店舗・売上高1500億ウォン(約150億円)をスタートに、2020年に70店舗・売上高2000億ウォン(約200億円)、2023年には140店舗・売上高7000億ウォン(約700億円)を達成するビジョンを描いている。
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