基本給の割合を最小限に抑え、代わりにボーナスなど各種手当を増やし、複雑で奇形的な賃金体系を作り出したことが問題だという指摘だ。最低賃金を遵守しているかどうかを選別する基準は、基本給である。初任給が5000万ウォン(約500万円)を超える大企業社員が最低賃金違反にかかる理由だ。
企業が基本給を最小限にするのは、延長勤労手当などを決定する通常賃金が基本給を基準に決定されるからである。企業としては、基本給を少なくすることで延長勤労手当を減らすことができるし、基本給ではない各種手当は容易になくすこともでき、さまざまな面で有利である。
韓国政府は今回の施行令改正案に経済界の意見を取り入れ、定期賞与と福利厚生費を最低賃金の計算に含むようにした。つまり企業は、分子である基本給を分母である所定労働時間と割って計算する最低賃金の計算時に、分子の部分を育てることができるようになった。そのため大企業らの反発は説得力に欠けるという指摘だ。
韓国政府はまた、「今回の施行令の改正は30年間行ってきた行政の指示を明文化するだけで変わるところはない」という確固たる立場だ。
今回の改正は、時間当たりの最低賃金を換算するとき、週休手当が支給される時間(週休時間)を含めるもので、これまでに存在しなかった「週休手当」を新たに作り出したものではないという話である。
イ・ナギョン国務総理も12月31日、「週休手当は1953年の勤労基準法制定以来、65年間も持続された法定手当」とし、「今回新たに追加されるものではない」と強調した。
専門家は、施行令の改正をめぐる今回の論議は実質的に、週休手当に関する議論ではないと口をそろえている。