韓国で開発中の新型コロナ血漿治療剤の研究が、回復した患者の血液を十分に得られず難航している。
血漿(けっしょう)とは、血液から赤血球などの血球を取り除いた成分を指す。
血漿治療剤は、回復した患者の血液中の血漿に含まれている抗体などの免疫タンパク質を抽出・分画して濃縮させた「高免疫グロブリン製剤」だ。回復した患者の血漿を重症患者に直接輸血するように投与する「血漿治療」とは異なる概念である。
血漿中の抗体を濃縮する過程を経て開発・生産されるため、回復した患者の血漿、つまり血液を確保することが最も重要となる。
6月3日、韓国の製薬業界や疾病管理本部によると、新型コロナから回復した患者1万450人のうち、これまで12人だけが血漿治療剤の開発に必要な血液を提供すると約束した。採血が完了したのは5人だけだ。
血漿治療剤の開発には、少なくとも100人以上の回復した患者の血液が必要とされており、はるかに不足している。
そもそも韓国ではGC緑十字が国立保健研究院と協力し、新型コロナに感染したが回復した患者の血液を活用した血漿治療剤を開発している。血漿治療薬は長期間、人体で使用されてきた免疫グロブリン製剤なので、他の新薬よりも開発速度を持つが、血液がなければ開発自体が進行しにくい。
それだけに医療界や製薬会社、防疫当局は、新型コロナの克服と早急な血漿治療剤の開発のために回復した患者の協力が切実だと強調している。
高麗大学・安山(アンサン)病院チェ・ウォンソク感染内科教授は「血漿治療剤が開発されれば、新型コロナの重症患者に新たな治療法の選択肢を提供することができる。回復した患者が積極的に血液の提供に参与してくれることを望む」と述べた。
実際に海外では新型コロナに感染後、回復した有名人たちの血液提供が相次いでいる。新型コロナに感染した俳優トム・ハンクスやテノール歌手アンドレア・ボチェッリなどが、血液を提供した。
血液の提供は、新型コロナから回復して隔離を解除されてから14日以上経過した成人だけが可能だ。韓国では高麗大学・安山病院、慶北大学病院、啓明大学・東山(トンサン)病院などで行うことができる。
年齢や体重などの基本的な要件を確認した後、新型コロナの検査や血液中にウイルスを無力化することができる中和抗体がどれほど形成されているかなどを確認する。
1次検査で血液提供が可能という結果が出れば、1週間以内に再訪問して血漿成分献血(500ml)をすればいい。
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