韓国の国会議員を選ぶ総選挙の選挙運動が4月2日からスタートした中、最大野党・未来統合党から立候補しているベテラン議員のチャン・ジェウォン(張済元)が、芸能人出身の放蕩息子のせいで苦境に立たされている。
チャン・ジェウォンの息子は、Mnetのラップサバイバル番組『高等ラッパー』出身のノエル。番組出演時、「国会議員の息子」「金の匙を持って生まれたヒップホップの神童」と騒がれたが、その後は次々と問題を起こしている。
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2017年には未成年者を相手に性売買を試みた事実が明らかになり、2019年には飲酒運転事故を起こしただけではなく、運転手をすり替えて被害者に示談を持ちかけるなどして、在宅起訴された。典型的な放蕩息子というわけだが、性売買、飲酒運転の次は兵役スキャンダルだ。
最近、ノエルが兵務庁身体等級4級で補充役判定を受けた事実が明らかになったのだ。それも父親の情報公開によって。
前述した通り、父親のチャン・ジェウォン議員は第21代国会議員選挙に立候補しているが、3月31日に中央選挙管理委員会が今回の総選挙に出馬した候補者の情報を一斉に公開した“候補者情報公開”によって、息子ノエルの兵役記録も明らかになった。
公開された内容によると、ノエルは2019年12月19日、兵務庁の身体検査の結果、身体等級4級判定を受けて、社会服務要員対象となった。
現行の兵役法では、高校卒業・身体等級1~3級者に限り、現役兵としての入営対象としており、高校中退以下の1~3級者と4級は補充役として社会服務要員として働くことになっている。
身体等級4級とは、疾病・心身障害の程度による評価基準のうち最も低い等級だが、これに該当するのは重症の疾患を持つ者だ。
兵務庁が公開した4級判定対象疾患としては、関節リウマチ、脊椎関節病症、脳下垂体機能低下症、糖尿病、肺結核、先天性心臓疾患、双極性障害などの精神疾患、体全体の入れ墨などになっている。
つまり、ノエルがこれらに該当する持病を持つのかと、疑いの目が向けられているわけだ。
父親のチャン・ジェウォン氏はノエルの補充役判定理由について、「個人情報なので明らかにできない」という立場を明らかにしているが、兵役問題は韓国でもナイーブなイシューだけに論議がさらに広がっている。
それにしても息子のために苦労が絶えない父親だ。チャン・ジェウォン氏は現役の国会議員でありながら、息子のために2度も公式謝罪した。
2017年に未成年者を相手に性売買を試みた事実が明らかになった際には「息子をまともに教育することができなかった。ひざまずいて許しを請う」と謝罪し、2019年9月に飲酒運転を起こした際には「国民の皆様にご心配をおかけして深くお詫びする。父として名状し難い惨憺たる心情」と重ねて謝罪した。
総選挙を半月後に控えて飛び出した息子の兵役問題については、「知らない」で一貫しているが、世論は黙っていないだろう。
しかも選挙運動が佳境となる4月9日には、息子ノエルが飲酒運転を図った友人たちとともに関連初裁判に乗り出すことになる。
ノエルは昨年9月7日未明、ソウル麻浦区(マポグ)の道路で、酒に酔って車を運転し、オートバイと衝突する事故を起こした。当時、ノエルの血中アルコール濃度は免許取り消し水準の0.08%以上だったという。
事故直後、ノエルは知人に自分が運転したと虚偽の供述を頼む一方、軽傷を負ったオートバイ運転手に「自分の父は国会議員だ。1000万ウォン(約100万円)を渡すから示談にしよう」と試みたという。
検察は、ノエルの代わりに運転したと主張したA氏を犯人逃避、保険詐欺防止特別法違反の疑いで在宅起訴しており、事故当時ノエルの同乗者だったB氏も飲酒運転ほう助、犯人逃避ほう助の疑いで裁判にかけた。
ノエルも危険運転致傷、道路交通法違反(飲酒運転)、犯人逃避、保険詐欺防止特別法違反の疑いなどで在宅起訴されている。
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