韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が非常戒厳令を発令した。
尹大統領は12月3日、龍山(ヨンサン)大統領室で緊急対国民談話を行い、「従北勢力を撲滅し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」と明らかにした。
尹大統領の談話全文は以下の通り。
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尊敬する国民の皆様、私は大統領として血を吐く気持ちで国民の皆様に訴えます。
これまで国会は韓国政府発足後、22件の政府官僚弾劾訴追を発議しており、今年6月の第22代国会発足後も10人目の弾劾を進めています。これは世界のどの国にも類例がないだけでなく、韓国建国以後にまったく類例がなかった状況です。
判事を脅かし、多数の検事を弾劾するなど、司法業務を麻痺させ、行政安全部長官の弾劾、放送通信委員会委員長の弾劾、監査院長の弾劾、国防長官の弾劾の試みなどで、行政府まで麻痺させています。
国家予算処理も、国家本質機能と麻薬犯罪取り締まり、民生(国民の生活)治安維持のためのすべての主要予算を全額削減し、国家本質機能を毀損し、大韓民国を麻薬天国、民生治安恐慌状態にしました。
民主党は来年度予算で災害対策予備費1兆ウォン、子どもケア支援手当て384億ウォン、青年働き口、深海ガス田開発事業など4兆1000億ウォンを削減しました。さらに、軍の初級幹部の給料と手当ての引き上げ、当直勤務費の引き上げなど、軍幹部の処遇改善費さえブレーキをかけました。
このような予算暴挙は、一言で言って、大韓民国の国家財政を翻弄するものです。予算までもひたすら政争の手段として利用する民主党の立法独裁は、予算弾劾までも躊躇しませんでした。
国政は麻痺し、国民のため息は増えています。これは自由大韓民国の憲政秩序を踏みにじり、憲法と法によって建てられた正当な国家機関を撹乱させるもので、内乱を企てる明白な反国家行為です。
国民の暮らしは眼中にもなく、ひたすら弾劾と特別検察官の野党代表の防弾で、国政は麻痺状態にあります。今、韓国国会は犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企てています。
自由民主主義の基盤となるべき国会が、自由民主主義体制を崩壊させる怪物になったのです。今、大韓民国は崩壊してもおかしくないほどの風前の灯火の運命に置かれています。
親愛なる国民の皆様。私は北韓(北朝鮮)の共産勢力の脅威から自由大韓民国を守り、韓国国民の自由幸福を略奪する破廉恥な従北反国家勢力を一挙に撲滅し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布します。
私はこの非常戒厳を通じて、亡国、奈落に落ちる自由大韓民国を守り抜きます。そのために、私はこれまで敗悪行為をしてきた亡国の元凶、反国家勢力を必ず撲滅します。
これは体制転覆を狙う反国家勢力の蠢動から国民の自由安全、そして国家持続可能性を保障し、未来世代にまともな国を譲るための避けられない措置です。
私はできるだけ早いうちに反国家勢力を撲滅し、国家を正常化させます。
戒厳宣布により、自由大韓民国の憲法価値を信じて従って下さった善良国民に多少不便がありますが、このような不便を最小化することに注力します。
このような措置は、自由大韓民国の永続性のためにやむを得ず行うものであり、大韓民国が国際社会における責任と貢献を果たすという対外政策の基調には何の変わりもありません。
大統領として国民の皆様に心よりお願い申し上げます。私は国民の皆様だけを信じて、自由大韓民国を守ります。
私を信じてください。ありがとうございます。
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尹大統領の非常戒厳令発令に対し、韓国のオンライン上では戒厳令発令そのものに疑問を抱く声が多い。「独裁に回帰するのか」「自分の身内を守ろうとしているのか」などの意見が上がっている。
また、与党「国民の力」は、尹大統領の非常戒厳令発令は「国民の力」と事前の相談なく行われたものだとして、真偽について状況を把握中だという立場を示している。
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