韓国が今年、1%台の経済成長率にとどまることが確実視されているなかで、韓国政府は従来のまま「2%の成長を成し遂げる」と主張した。
しかし第3四半期の経済成長率が前期比0.4%増に終わり、韓国経済の最後の防衛線といえる「年間成長率2%台」が崩れる懸念が現実化している。
専門家たちは、韓国政府の“楽観”と“意地”がもたらす弊害を懸念する。正しい診断すらできずに、しっかりとした処方ができるわけがないからだ。
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韓国銀行が10月24日に発表した「2019年第3四半期、実質国内総生産(GDP)」速報値を見ると、第3四半期の実質GDPは前期比0.4%増加した。
市場で展望された0.6%増よりも低い数字だ。政府が期待するように、来年2%台へと成長するためには、今年の第4四半期に1%の成長率を見せなければならないが、現在は大規模な好転を期待するのが難しい。
四半期別の成長率を見ると、第1四半期が0.4%減、第2四半期は基底効果で1.0%増と反発した。そして第3四半期は0.4%の成長にとどまった状況で、これまでの累計成長率は1.9%だ。
今年2%の成長率を達成するためには、残る第4四半期で最低でも成長率が0.97%以上でなければならない。
問題は、政府支出の成長寄与度が急激に落ちたことにある。
第2四半期の成長寄与度は1.2%だったが、第3四半期は0.3%に減少した。政府の財政支出の効果が半減したという意味だ。第2四半期に財政を前倒しで使いながら成長率を伸ばしたが、第3四半期には余力が減ったという話だ。
政府は残りの期間、不用を最小限に抑え、使用可能な予算を全額執行すればプラスアルファの効果を出すことができると主張する。企画財政部によると、今年第3四半期までに中央政府が執行した予算は372兆ウォン(約37兆2000億円)で、本予算473兆6000億ウォンのうち78.5%が執行された。
ホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官は同日、国会企画財政委員会の総合国政監査で「第4四半期に政府のすべての手段を動員し、経済成長率を引き上げるために最善を尽くしたい」と述べた。
ホン長官は去る10月18日、国際通貨基金(IMF)と経済協力開発機構(OECD)が提示した成長率の見通しをもとに、今年の成長率を2.0~2.1%水準と予想すると述べたことがある。
一方で、すでに国内外の主要研究機関と投資銀行(IB)は、1%台の成長率を既定事実化している。
国際金融センターによると、9月末基準の9つの海外IBの見通しは平均1.9%と調査された。韓国経済研究院は今年6月に2.2%と予想したが、9月に入って1.9%に引き下げた。LG経済研究院は年間1.8%と予想した。
これまで韓国の経済成長率が年間2%を下回ったのは、計4回ある。1956年に凶作で0.7%、1880年に石油危機でマイナス1.7%、1998年に通貨危機でマイナス5.5%、2009年に世界金融危機で0.8%を記録した。
1%台の経済成長率が確実視されながら、基準金利の追加引き下げの要求が大きくなる見通しだ。専門家は来年上半期に基準金利の追加引き下げが行われ、0%台の時代が到来すると見ている。
韓国銀行の金融通貨委員会が10月16日に0.25%ポイント下げたことで、現在の基準金利は1.25%だ。
10月24日、総合国政監査に出席した韓国銀行イ・ジュヨル総裁は、今年2%台の成長が可能なのかという質問に「現在としては今年2%の成長が容易ではない」とし、「第4四半期の政府の財政努力などいくつかの変数があり、見守る必要がある」とした。
2%の成長を置いて、政府と韓国銀行の見方が微妙にずれているようだ。
これに対して韓国銀行パク・ヤンス経済統制局長は、「2%の成長率を達成できなければ韓国経済がさまざまな困難を迎える可能性があるが、過去に比べて潜在成長率(2019~2020年の年平均2.5~2.6%)が低くなったことまで考慮しなければならない」と指摘した。
そして「潜在成長率の低下を克服するために、政策当局者が生産性の向上、新成長動力の拡大に焦点を合わせなければならない」と述べた。
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