ソン・ソックにそっくりの子役はCGだった…ディープフェイクの懸念広がる「過去にはポルノ被害も」

2024年02月21日 話題 #Netflix

2月9日より配信が開始したNetflixオリジナル『殺人者のパラドックス』。劇中、ソン・ソックの少年時代を演じる子役がCG処理を施したディープフェイクであることがわかった。

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「ソン・ソックにそっくり」と話題となった当該のシーンは、ソン・ソックの幼い頃の写真を複数利用して幼少期のビジュアルを再現し、子役カン・ジソクの映像に合成したのだという。

ディープフェイクはAIを用いてイメージや映像を作り出す技術力で、最近ではドラマや映画で活用される事例が増えている。

最近放送終了したJTBCドラマ『ようこそサムダルリへ』では、韓国の国民的MCソン・ヘさんをこの技術で再現させて話題を集めた。

肯定的な側面もあるが、ディープフェイク技術で芸能人や政治家の偽ニュースが作られるなど、否定的な事例も少なくない。

1月下旬、歌手のテイラー・スウィフトがディープフェイク・ポルノ画像が拡散されたことへの被害を訴えた。

昨年7月には、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)がストライキを決行。大きな争点となったのはAIの使用による人のスキルやアイデンティティーの収奪の防止である。

脚本家にとっては、自分たちが考えたアイデアがAIに取り込まれ、再利用あるいは再構築されることに対する危機感。一方で、俳優は自分の容姿や動きがデータ化され、コンピューター上で自由自在に再現されることに対するものだ。

ソン・ソック
ソン・ソック(左)とCG処理された少年時代のシーン(写真=Netflix)

現在韓国では議論を始めている段階で、放送演技者労働組合のタレント支部長のチュ・ウ氏は「AI使用を阻止するための法がなければならないが、この対象が明確ではない。JTBC『ようこそサムダルリへ』は故ソン・ヘさんの姿を再現するために遺族の同意を得たという。このように同意を得て正当な代価を支払うことが重要だ」と明らかにした。

続けて、「時代的な流れなのでむやみに反対することはできないが、相対的に力が弱い俳優たちのために、グローバルOTTプラットフォームと交渉を試みた。しかしグローバルOTTがこれに応じなかった。アメリカはストライキを通じて合意した。 韓国もやはり法的枠組みの中で強制することが必要だ」と説明した。

それとともに「OTTプラットフォームを単純ストリーミングサービスではなく、放送に編入してこそ、これに対する協議が可能だ」と付け加えた。

法務法人のイ・グンウ弁護士は「ディープフェイク使用に対して正当な権利を支払ったとすれば、知識財産の侵害にはならない。しかし、無名俳優のAI使用が普遍化すれば、これは“顔のない俳優”に転落せざるを得ず、経歴を証明することが難しくなり、労働権問題に影響する恐れがある」と明らかにした。

続けて、「昨年のハリウッド俳優ストライキは団体の力が強い場合が多く交渉できた。しかし韓国はまだ大型所属事務所に依存する場合が高いうえに俳優団体の影響力が少なく、交渉に応じないこともありうる。韓国作品の制作でも海外のように定型化され、先進化されたシステムを導入しなければならない」と話した。

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