ハ・ジウォンが主役として鮮烈な印象を残したのがドラマ『チェオクの剣』だった。制作は2003年で、ハ・ジウォンが25歳のときの主演作である。
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彼女はこのドラマで、抑圧された時代に合わせて繊細で耐え抜く演技を披露して大ブレイクした。2003年のMBC演技大賞では、最優秀賞、人気賞、ベストカップル賞を受賞して話題をさらった。
2004年にはチョ・インソン、ソ・ジソブとドラマ『バリでの出来事』で共演。この作品は衝撃的なラストシーンで視聴者に強烈な印象を残したが、ハ・ジウォンのはじけるような演技も大きな注目を集めた。
そんな彼女が次に心血を注いだのが『ファン・ジニ』(2006年)の主演だった。ファン・ジニに扮するにあたってハ・ジウォンは、当代随一の妓生(キセン/宴席で歌舞を披露する女性)としての自尊心を随所に見せながら、苦難に打ち勝とうとする意思を強く演技するように心掛けたという。
特にすばらしかったのが、主人公のファン・ジニになりきっていたハ・ジウォンの舞である。確かに、頭上から撮った躍動的なカメラワークが効果を上げていたが、それ以上に目を見張ったのが、ハ・ジウォンの華麗で羽ばたくような身体の動きだった。
その姿は、「華麗に舞うことが情熱的に生きることなのだ」と視聴者を大いに納得させた。ハ・ジウォンはまさに本物の「女優」に成長した。
さらに、彼女の挑戦が続く。
ドラマ『シークレット・ガーデン』(2010年)で演じたスタントウーマンのライム役では、ハ・ジウォンの心意気がよく伝わってきた。
努力を積み重ねて生きてきたライムは、わがままな御曹司ジュウォン(ヒョンビンが演じた)の誘いを颯爽とはねつける。ところが、ドラマは一転してラブコメとなり、ライムとジュウォンの魂が入れ替わってしまう。ライムを演じていたハ・ジウォンも今度は傲慢なジュウォンになりきらなければならなかった。
ハ・ジウォンは必死だった。最終的に彼女は異性になりきり、撮影が終わっても口調や仕種が戻らなくなったという。それほど役に集中していたのだ。
そんなハ・ジウォンにとっての次なる代表作は『奇皇后』だ。
彼女は運命に抗うことができなかった奇皇后の人生をしっかりと受け止め、前向きに生きていく姿を堂々と演じた。
「与えられた役柄そのものの人生を歩んでみたい、と思えることが大切です」
そう語るハ・ジウォン。その言葉のとおり、彼女にとって「演じる」とはまさに「生きる」ことなのだ。
そして、ハ・ジウォンは『病院船~ずっと君のそばに~』で癖がある有能な外科医を演じた。離島をまわる病院船でハ・ジウォンが扮したソン・ウンジェはどんな生き方を見つけていくのか。
このドラマはハ・ジウォンの女優としての多様性を実感できる作品だ。
(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
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