「イ・グン大尉」という名でYouTube活動をしてきた元軍人イ・グンが「ウクライナに出国した」と知らせて議論を呼んでいるなか、韓国外交部の消息筋によると、現在まで入国は確認されていないそうだ。
イ・グンは3月6日、自身のSNSやYouTubeチャンネルに「ウクライナの状況を見ることができないため、別のチャンネルで出国した。生きて帰れば、私がすべての責任を負って(国から)与える処罰を受ける」と明らかにしていた。
ロシアとウクライナの戦争に、第3国である韓国の民間人が自ら戦争に参加するため訪れることについて、法的にも大きな問題が予想されている。
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とある外交部の消息筋はイ・グンについて、「まだウクライナに入っていないと聞いている」と明らかにした。外交部当局は、パスポート無効化措置など行政制裁を通じて入国を阻止する方法を検討中だという。
もし、これを破ってウクライナに入国すれば、まず、現在コロナによって施行されている第4段階の旅行禁止措置に違反することになる。
先立って韓国政府は、ロシアのウクライナ侵攻が始まる約10日前の2月13日、ウクライナ全域を旅行禁止地域に指定していた。
そして韓国旅券法の17条によると、外交部長官は国民の生命・身体や財産を保護するために、国民が特定の国や地域を訪問したり滞在することを中止させることが必要だと認めるときは、期間を定めて該当国家や地域でのパスポートの使用を制限したり、訪問・滞在を禁止でき、外交部長官が必要だと認めた場合のみ例外的に許可できるよう規定している。
これに違反した場合、1年以下の懲役または1000万ウォン(約100万円)以下の罰金に処される。
また、単なる入国にとどまらず、ロシアとウクライナの戦争に実際に参戦した場合、私戦罪として処罰されることもあり得るそうだ。
私戦罪は、政府の宣戦布告や軍隊の戦闘命令がないにもかかわらず、個人が勝手に外国に対して戦闘行為をした場合に成立する罪で、国家間の外交関係を悪化させることを防止するためのもの。
刑法第111条では、私戦罪を犯した場合、1年以上の有期禁固に処し、これを事前に謀議した場合は3年以下の禁固、または500万ウォン(約50万円)以下の罰金に処すと規定している。
なお、イ・グン自ら「ウクライナ大統領が全世界に支援を要請した際、ROKSEAL(イ・グンの特殊部隊チーム)は直ちに義勇軍の任務を準備した」と明らかにしただけに、事前謀議にも該当する余地が高い。
イ・グンは76万人もの登録者数を抱える人気ユーチューバーだけに、今後の展開に注目が集まっている。
■戦争参加表明のイ・グン、「韓国を代表して地位を高める」と意気込み
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