韓国現代史がテーマの映画3選、『7番房の奇跡』監督の最新作など“重厚”な作品が勢揃い

2021年08月31日 映画 #韓国映画

アイドルやグルメ、ドラマなど、韓国ブームの勢いが止まらない昨今。映画の分野でも『パラサイト 半地下の家族』が国際的にも高く評価され、日本でも大ヒットを記録するなど、韓国映画への注目は日々高まっている。

そんな注目を集める韓国映画のなかでも、韓国における軍事独裁と民主主義の対立を描いた映画にはヒット作が多く、韓国映画ならではの人情味あふれるキャラクターと、史実をベースにした重厚なサスペンス要素が見事に融合した傑作が多く誕生している。

そこで今回、『偽りの隣人』の公開を控え、韓国でも大ヒットを記録し、お墨付きの韓国現代史をテーマにしたおすすめ映画3作品をご紹介する。

『偽りの隣人 ある諜報員の告白』(2021年9月17日公開)

(© 2020 LittleBig Pictures All Rights Reserved.)
『偽りの隣人 ある諜報員の告白』日本版ポスター

日本でも大ヒットした『7番房の奇跡』のイ・ファンギョン監督による待望の最新作。1985年、国家による弾圧が激しさを増す中、次期大統領選に出馬するため帰国した野党政治家イ・ウィシク(演者オ・ダルス)は、空港に到着するなり国家安全政策部により逮捕され、自宅軟禁を余儀なくされた。

諜報機関はウィシクを監視するため、当時左遷されていたものの愛国心だけは人一倍強いユ・デグォン(演者チョン・ウ)を、監視チームのリーダーに抜擢。デグォンは隣家に住み込み、24時間体制の監視任務に就くことになった。

機密情報を入手するため盗聴器を仕掛けたデグォンだったが、家族を愛し、国民の平和と平等を真に願うウィシクの声を聞き続けるうちに、上層部に疑問を持ち始める。そんな矢先ウィシクとその家族に命の危険が迫っていた―。

【写真】『偽りの隣人』場面カット解禁!

『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2018年4月21日公開)

(写真提供=SHOWBOX)『タクシー運転手 約束は海を越えて』韓国版ポスター

1980年5月の光州事件が題材で、ソン・ガンホが主演を務めた本作は、2017年韓国No.1の大ヒット作だ。タクシー運転手のマンソプ(演者ソン・ガンホ)は、外国人客を乗せて光州へと向かうこととなる。通行禁止になる前に現地に入れば、滞納している家賃を返せる金額10万ウォンを支払うという言葉につられ、マンソプはドイツ人記者のピーター(演者トーマス・クレッチマン)を乗せて、英語も分からぬまま一路、光州を目指すことに。

何としてもタクシー代を受け取りたいマンソプは、機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入る。「危険だからソウルに戻ろう」というマンソプの言葉に耳を貸さず、ピーターは大学生のジェシクとファン運転手の助けを借り撮影を始める。しかし状況は徐々に悪化し始め、マンソプは1人で留守番させている娘が気になりはじめる―。

『KCIA 南山の部長たち』(2021年1月22日公開)

映画『南山の部長たち』韓国版・日本版ポスター

実際にあった大統領殺害の事件を、名優イ・ビョンホン主演で映画化した政治サスペンス。物語は1979年10月26日、大韓民国大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称:KCIA)部長キム・ギュピョン(演者イ・ビョンホン)が、大統領を射殺する。大統領に次ぐ強大な権力と情報を握っていたとも言われるKCIAのトップが、なぜそのような行動に出たのか。

時を遡ること40日前、KCIA元部長パク・ヨンガクが亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で、韓国大統領の腐敗を告発する証言を行った上に、回顧録を執筆中だともいう。

激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長は、アメリカに渡り、かつての友人でもある裏切り者ヨンガクに接触する。それが、やがて自らの運命をも狂わせる哀しき暗闘の幕開けとも知らず…。

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