ケーブルチャンネルのtvNで放送されている韓国ドラマ『アルハンブラ宮殿の思い出』(Netflixでも配信中)。
ヒョンビンが演じるのは、投資会社社長のユ・ジヌだ。スペインに仕事で出掛けた彼は、元ギタリストだったチョン・ヒジュ(パク・シネ)が経営するホテルに泊まる。
そこから、ミステリアスな事件に巻き込まれるというのが同ドラマの設定だ。
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視聴率も好調で、主役のヒョンビンの評判がいい。そんな彼が今でも「キャリアのうえでプラスになった」と評価しているのが兵役の経験だ。
振り返ってみれば、ヒョンビンが自ら志願して海兵隊に入隊したのは、2011年3月だった。
軍隊の中で一番訓練が厳しいと言われる海兵隊。あえて困難な環境に身を置いたヒョンビンは、海兵隊に入った直後にこう語っていた。
「ファンから忘れられることは恐くありません。実際、忘れられることもあるでしょう。大事なことは、兵役中にどう過ごして、社会に戻ったときにその経験をどう生かせるか、ということです」
この言葉からわかるように、ヒョンビンは兵役中に人気が落ちることを恐れていなかった。それよりむしろ、軍隊の経験を俳優の仕事にどう生かせるかを考えていた。とても前向きな姿勢だ。
だからこそ、彼は兵役の1年9カ月をステップアップにふさわしい時間に変えることができたのだろう。
ヒョンビンはさらに海兵隊時代にこう語っていた。
「俳優の仕事では、身体的にも精神的にも、新しい作品に入る度に気持ちを込めて演技してきましたが、軍隊生活で生じる限界はそれともまた別のものです。
20代は作品にずっと出てきましたが、自分の人生について考えたことは、作品について考える時間より少なかったのです。30代で俳優に戻る前に、今の時点で自分を一度見つめなおし、今後の将来に向けてじっくり考えてみたい。そのようにして軍隊生活を送っていきたいですね」
ここでヒョンビンが強調していたのは「自分を一度見つめなおす」ということだった。忙しく俳優の仕事を続けていると、日々が流されていき、どうしても自分の立ち位置がわからなくなってくる。
それは、誰もが経験することだ。
しかし、ヒョンビンは原点に立ち返ろうとした。
それが彼にとっては1年9カ月間の兵役だったのである。 「海兵隊で落伍したとしても、後悔はしたくないのです。やらないで後悔するよりは、やって後悔したほうがまだましじゃないですか。私がしている仕事は経験を積むことが大事なので、軍隊で過ごす経験が後でとても生きてくると思います」
実際、ヒョンビンは有言実行だった。兵役の経験を俳優の成長に生かしきったのだ。
彼の存在は、これから兵役入りする後輩たちにも、大きな勇気を与えるに違いない。
(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
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