韓国ドラマが、Netflixを通じて新しい韓流ブームを巻き起こしている。
K-POPがツイッターやフェイスブックのようなSNSとユーチューブを通じて世界のファンと交流を図ってきたなら、韓国ドラマは最近、グローバル動画配信サービスNetflixを通じて世界の視聴者を虜にしている。
そして、新型コロナウイルスによる「ステイホーム」で利用者が増えたことも、韓国ドラマの人気を牽引したと言えるだろう。
Netflixが制作したオリジナルシリーズ『キングダム』は2019年、世界190カ国に配信されたシーズン1が好評を博し、今年3月に公開されたシーズン2はさらに大きな反応を得た。そしてもうひとつのオリジナルドラマ『人間レッスン』も世界で注目されている。
特に、Netflixを通じて世界に公開された『愛の不時着』(tvN)は日本で大ブームとなり、アジアを超えて北米、ヨーロッパなど世界各地で人気を博している。
Netflixが韓国ドラマの制作会社らにとって魅力的な窓口であることは事実だ。
Netflixとの契約金額は非公開で、作品別に金額も異なるが、Netflixと契約したほうが収益面では以前よりずっと良いというのが業界の反応だ。
ある制作会社の関係者はこう説明している。
「海外でNetflixオリジナルとして公開される水準なら、Netflixも多額を提案するので、韓国のように市場規模が小さい国の制作会社としては悪くない選択。Netflixを通じて韓国ドラマが安定的かつグローバルに消費されるという効果もある」
さらに他の制作会社関係者はこう評価する。
「Netflixと地上波の同時放送作品は、Netflix独自のマーケティングの力を得て、さらに弾みがつく。Netflixを通じて韓流ドラマが広がれば、現在放送中のドラマでなくても過去作品に対する需要も増え、制作会社が抱える過去作品の販売につながる可能性もある」
しかし、基本的にNetflixとの契約は作品公開前に成立するため、ある程度の収益と資金を確保できるが、興行収入による「大当たり効果」は消えた。『冬のソナタ』『太陽の末裔』のような方法での大ヒットを期待することが難しくなったのだ。
実際に、韓国で大ヒットを記録した『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』は、予想以上に安い金額で販売されている。
また、さまざまなジャンルに投資するよりかは、特定のジャンルだけに主力するという懸念もある。そして、業界では俳優の出演料が相当分水増しされたという指摘も出た。
制作会社が権利を持っているため、条件さえ合えば海外に再販売が出来るとしても、NetflixがOTT(動画配信サービス)の中でも多くの国で配信しているため作品選びが慎重になり、作品の幅が狭まるしかない状況だ。
長期間続いている中国の“限韓令”(韓流制限令)と、新型コロナ19の世界的拡散により、現在ドラマ市場は厳しい状況だ。
韓国での収益とOTTへの販売収益に頼らなければならないなか、広告収入は次第に減少し、2021年にはドラマの制作本数がさらに減少すると見込まれている。
しかし、業界では中国市場が再び開かれ、Netflixを通じて海外市場も開拓されているため、今後のドラマ市場の展望も前向きに評価もある。
あるマネージメント会社の代表は「韓国ドラマは新型コロナ19の状況でグローバル化の過渡期に入ったようで、メディアのパラダイムが5年ほど繰り上げられたようだ」とし、「いつになるかはわからないが、新型コロナ19の状況が沈静化すれば韓国の制作会社も正常化し、コンテンツ供給が良くなるだろう」と展望した。
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